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取組・体験記・コラム

甲子園の星☆金足農・吉田投手とキャッチボール体験

2018年11月08日
気になるヒップサイズは105センチ!

 今夏の甲子園の熱投で、一躍時の人となった金足農高の吉田輝星投手(17)。プロ野球新人選手選択会議(ドラフト会議)では日本ハムから1位指名を受け、今後の活躍にますます注目が集まっている。そんなスーパースター・吉田くんとキャッチボール体験する日が、予期せず訪れた。朝、突然鳴った携帯。出てみると「あんた、午前10時までに金足農のグラウンドに来なさいよ!」。声の主は、かつて金足農を甲子園ベスト4まで率いるなど、“雑草軍団”の歴史を創り上げた名将・金足農元監督の嶋崎久美さん(70)。嶋崎さんが現役の監督時代に取材したこともあり、その縁で「吉田くんの球を受けてみたい」とお願いしていたのだ。スライダーを教えることに定評のある八戸学院大(青森)の正村公弘監督(55)と吉田くんを引き合わせるなど、吉田くんにとっても大きな存在である嶋崎さんだけど、まさか本当に実現するなんて。しかも、今から?? 準備する時間ないじゃん!! でも、誰でもできる体験ではないし、このチャンスを逃すわけにはいかない。何とか化粧だけは済ませ、車に飛び乗った。

 約束の時間前に金足農に到着。校舎にはまだ「祝・甲子園準優勝」の垂れ幕がかけられていて、周囲にはファンらしき人たちの姿も見える。車を降り緊張しながら野球場へ向かうと、ナインたちが練習を止め、こちらに向かって「こんにちは!」と頭を下げた。不審者かもしれない私にまであいさつしてくれるなんて。徹底された礼儀の良さに感動していると、いきなり目の前に「KANANO」の帽子をかぶった見覚えのある顔が現れ、「よろしくお願いします」と言っている。本物の吉田くんの登場だ!! キラキラした瞳に、想像以上の爽やかな笑顔。そして何より、ユニホーム姿のパンパンした太ももとお尻からは真のアスリートぶりが見てとれた。「2年生の冬季練習の成果で、100センチなかった尻周りは105センチまで大きくなりました」と吉田くん。みんなが気になる情報提供、ありがとう!

マッキーにボールの握り方を丁寧に教えてくれた吉田くん

あっという間のキャッチボール

いざ、実践。スーパースターの指導を受けながらのキャッチボールは最高

 ボールとグローブを借り、いざグラウンドへ。でも、よく考えたら最近ボールを握る事なんてなかった。「吉田くん、真っすぐ届くようにボールの投げ方教えでけれ」。ワガママ記者・マッキーに、吉田くんは「ボールに引っかける人さし指と中指に均等に力をかけ、踏み込む足は相手に向けて投げてみてください」と丁寧に教えてくれた。まずは近い場所から始め、徐々に離れてキャッチボール。150キロの剛速球とはいかなかったが、きれいなフォームから放たれるナイスコントロールの吉田くんの球は、私が構えたグローブにスッと入る。そのおかげか、次の投げる動作に入りやすく、何とか真っすぐ投げ返すことができた。「お!ちゃんとした球がきてますよ」と優しい笑顔の吉田くん。これだば、誰でもファンになってしまうぜ❤ しかし、そんな夢のような時間はあっという間に過ぎてしまった。

キャッチボール中でも爽やかな笑顔を絶やさない吉田くん

健康の秘けつは早起き。あきたこまち食べてパワーアップ!

 心地良い汗を流した後は、伝統ある金足農野球部の部室で素顔の吉田くんをインタビュー。ドラフト1位指名後、同校で会った日本ハムの栗山英樹監督(57)から「野球がうまくなるよう指導するのはどの球団も同じ。社会人の一人としても成長できるよう育てたい」という言葉をもらい、改めていい球団に指名してもらえたと実感したという。甲子園後の周囲の変化については「少しは顔を覚えてもらえるかと思っていたけど、学校にたくさんの人が来たり、知らない人にまで『頑張った』と声を掛けてもらい、驚いたけどうれしい」と話す。

 また、健康のために心掛けていることは早起き。「3年生は甲子園後に引退という形になってるけど、生活リズムを崩さないために午前6時には起床して、30分後には部室にいます」と、普段の練習に加え朝練も続けている(家族の話によると、実は朝起こしているのは親だそう。何度も声を掛けてやっと起こすのだとか 笑)。U18アジア選手権のメンバーに選ばれ、高校野球を代表する選手たちと一緒に過ごすことで体の基本となるバランスの良い食事の大切さにも気付いたという。「最近は肉だけでなく、野菜をできるだけ食べるよう心掛けています。もちろん、お米はあきたこまちが大好き」と吉田くん。プライベートでの息抜きは、スポーツや格闘技を題材にしたアニメを見ること。さらに、ロードワークで利用することがあるという学校近くの小泉潟公園は「自然が豊かで空気がおいしく、気分がリフレッシュできる」とお気に入りの場所に挙げた。

大エースの手はごつそうかと思いきや、きれいな手のひら。触らせてもらったら、ふかふかでした

 高校生らしい素顔も垣間見えた吉田くんだが、金足農フィーバーを巻き起こすほど力強く、人々を魅了する投球の秘密はどこにあるのだろう? 嶋崎さんは「心も体も健康なこと。県予選から甲子園決勝の途中までを一人で投げ抜いたのは、健康があってこそ。だから故障もないのよ」と答える。さらに「体力があって、はじめて気力が生まれるというのが私の考え。金足農の野球部は、猛練習することで体力をつけることが基本。社会に出てからも通じることだが、体が健康で最後は努力した人が勝つ」と続けた。かつて嶋崎監督が率いた金足農では、雪山を走り込む名物トレーニング「地獄の田沢湖合宿」が毎年行われていた。今は田沢湖までは行かないものの、伝統は引き継がれ、冬場は長靴を履き、チームメートを背負って雪をかき分けながらグラウンド内を歩く練習がある。吉田くんのたくましい下半身は、チームを率先して励んだ雪中の走り込みや100キロ近くあるチームメートを背負って歩いた厳しいトレーニングのたまものなのだ。

金足農の大フィーバーと吉田くんの活躍に、嶋崎さん(写真右)は「涙出るほどうれしい」とにっこり

 甲子園での活躍を「秋田の方たちに想像以上の応援をもらったおかげ」と振り返った吉田くん。観客の声が地鳴りのように聞こえた甲子園のマウンドは「やっぱり特別な空間だった」と、この日一番の華やいだ笑顔を見せた。今後はプロとしての道を歩むことになるが「秋田で試合をする機会はなかなかないかもしれないけど、新聞やテレビを通じて多くの人に感動や勇気を与えられる選手になるよう頑張ります!」と力強いメッセージをくれた。そんなキラキラ輝くオーラを放つ吉田くんを見て、応援するだけでも健康で長生きできそうと感じた。これからもっともっとすごい大投手に成長した吉田くんと、またいつかキャッチボールができるといいな。

キャッチボールで使用したボールにいただいた吉田くんのサイン。「輝」「☆」で名前の「輝星」を表現しているのですね!