がん及び生活習慣病について
がんとは
がんは遺伝子が傷ついてしまうことで起こる病気で、現在、日本人の2人に1人は生涯で何らかのがんにかかるといわれています。
また、男性は4人に1人、女性は7人に1人ががんで死亡するというデータもあります。
がんは、さまざまな要因によって発症すると考えられていますが、その中には予防できるものも多くあります。
運動不足の解消、食生活の見直し、禁煙などに努めて「がんになりにくくする(予防する)」ことを心がけましょう。
予防していてもがんになってしまうことはありますが、がんの早期発見・早期治療につながるよう、定期的にがん検診を受診しましょう。(がん検診についてはこちら)
出典:国立がん研究センター「がん情報サービス」
部位ごとのがんについて
生活習慣病とは
生活習慣病とは、食事、運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が深く関与し、それらが発症の原因となる病気の総称です。
生活習慣病には、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、脳卒中(脳血管疾患)、心疾患、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などが含まれます。
秋田県民の約半数が、がんや生活習慣病が原因で亡くなっています。
生活習慣病予防のために、特定健診を受けて日頃の生活習慣を見直してみませんか。(特定健診についてはこちら)
- 秋田県民の死因別死亡割合
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出典:厚生労働省「令和元年人口動態統計(確定数)をもとに秋田県で集計したデータ」
代表的な生活習慣病について
胃がん
胃がんとは
胃がんは、胃の内側の壁をおおう粘膜細胞が何らかの原因でがん細胞へ変化し、増え広がることで発生します。
がんが進行すると粘膜下層から固有筋層、漿膜(しょうまく)へと次第に外側へ進んでいきます。
主な症状
がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、進行しても症状がない場合がありますが、代表的な症状は、胃の痛みや食欲不振、胸やけ、吐き気、不快感などです。
胃がんから出血することで起こる貧血や黒い便が発見のきっかけになることもあります。
食事がつかえる、体重が減る、といった症状がある場合は、進行した胃がんの可能性もあります。
このような症状があれば、検診を待たずに医療機関を受診しましょう。
大腸がん
大腸がんとは
大腸がん(結腸がん・直腸がん)は、大腸(結腸・直腸・肛門)に発生するがんで、腺腫という良性ポリープががん化して発生するものと、正常な粘膜から直接発生するものがあります。
大腸がんは、秋田県民が最も多くかかっているがんです。
主な症状
早期では自覚症状がほとんどありません。
進行すると、血便、下血(腸の出血が原因で出る赤や赤黒い便)、下痢と便秘を繰り返すなどの症状が現れます。
おなかが張る、便が細い、便が残る感じ、腹痛、貧血、体重減少なども症状のひとつです。
血便、下血は痔などの良性の病気でもみられる症状ですが、そのままにしておくとがんが進行してから見つかることがあるため、早めに消化器科、胃腸科などを受診することが大切です。
肺がん
肺がんとは
肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化したものです。
進行すると、がん細胞は周りの組織を壊しながら増殖し、血液やリンパ液の流れにのって転移することもあります。
主な症状
肺がんは、「この症状なら肺がん」という代表的な症状はなく、自覚症状がないうちに進行してしまうこともあります。
肺がん以外の呼吸器系の病気にも見られる症状としては、咳や痰、血痰(けったん)、発熱、息苦しさ、動悸、胸痛などがあります。
複数の症状があったり、長引いたりして気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
子宮頸がん
子宮頸がんとは
子宮頸がんは、子宮頸部(子宮の入り口付近)にできるがんで、子宮体部にできる子宮体がんと区別されます。
子宮頸がんは、子宮頸部に発生するため、婦人科の診察で観察や検査がしやすく、発見されやすいがんです。
主な症状
子宮頸がんは、がんになる前の異形成といわれる状態を何年か経てから発生します。
異形成の時期は症状がなく、おりものや出血、痛みもありません。
子宮頸がんが進行すると、月経中以外の日や性交時に出血をしたり、濃い茶色や膿(うみ)のようなおりものが増えたり、水っぽいおりものや粘液が多く出てきたりすることがあります。
少しでも気になる症状があるときは、ためらわずに早めに婦人科を受診しましょう。
乳がん
乳がんとは
乳がんは乳腺の組織にできるがんで、多くは乳管から発生します。
稀に男性にも発生することがあります。
主な症状
乳がんの主な症状は乳房のしこりですが、そのほかにも、乳房にえくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対照になる、乳頭から分泌物が出るなどの症状があります。
乳がんは自分で見つけることができるがんの一つです。
日頃から自分の乳房を見たり触ったりして、セルフチェックを心がけましょう。
脳卒中(脳血管疾患)
脳卒中(脳血管疾患)とは
脳の血管が詰まる(脳梗塞)、破れる(脳出血・くも膜下出血)などして、細胞に栄養が行き渡らなくなり、細胞が死んでしまう病気です。
後遺症により生活に支障をきたす場合が多く、重度の要介護状態になる原因となります。
しかし、発症後、早急に治療(発症して4.5時間以内が目安)をすることで後遺症を軽くできるケースもあるので、早期の受診が大切です。
症状
よくある5つの症状は以下のとおりです。
・半身のまひ、しびれ
・ろれつが回らない、言葉が出ない
・力はあるのに立てない、フラフラする
・片方の目が見えない、物が二つに見える
・経験したことがないような激しい頭痛
予防
5大危険因子は、「高血圧・糖尿病・脂質異常症・不整脈・喫煙」です。
食事の塩分・脂肪を控えめにし、豆類、芋類、海藻、キノコ、根菜類などのコレステロールを下げる食べ物を多く取りましょう。
また、お酒の飲み過ぎや運動不足も危険因子となります。
心疾患
心疾患とは
心疾患には、脈の乱れを起こす病気や先天性の心臓病、心筋や心膜の病気など様々あり、その中でも、生活習慣が原因で起こるものが虚血性心疾患です。
虚血性心疾患には、「狭心症」と「心筋梗塞」があり、これらの病気は心臓の血管が動脈硬化のために細くなり、心臓を動かしている心筋に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなってしまいます。
症状
心筋が一時的に血液不足になり胸に痛みを感じたり(狭心症)、完全に血管が詰まってしまうと、胸に強烈な痛みを生じることもあります(心筋梗塞)。
予防
「喫煙・LDLコレステロールの高値・高血圧」が虚血性心疾患の3大危険因子となっているほか、メタボリックシンドロームも危険因子の1つです。これらについて、特定健診を受けて自身の健康状態をチェックをすることが重要です。
また、生活習慣では、動物性の油に多く含まれる飽和脂肪酸の取り過ぎ、お酒の飲み過ぎ、塩分のとりすぎ、運動不足、ストレスが虚血性心疾患のリスクを高くします。
糖尿病
糖尿病とは
糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなってしまう病気です。
インスリンというホルモンは、血糖値の上昇を抑える働きがありますが、肥満や運動不足の場合には、インスリンの働きが悪くなるため、血糖値が高くなります。
また、加齢や体質によりインスリンの分泌力が弱くなると、太っていなくても血糖値が高くなることがあります。
症状
初期症状はほとんどありませんが、動脈硬化から脳卒中や虚血性心疾患になりやすくなります。
さらに、3大合併症として、手足のしびれや感覚が鈍くなる「糖尿病性神経障害」、腎臓の働きが悪くなる「糖尿病性腎症」、目の血管が傷ついて視力が落ちる「糖尿病性網膜症」があり、透析や失明につながる可能性があります。
予防
食事の取り過ぎは血糖値が上がりやすい要因となるため、自分の体格や活動量に合わせて、栄養バランスのとれた食事をとることが重要です。
また、定期的な運動は、血液中の血糖を消費したり、内臓脂肪を減らします。特にウォーキングなどの有酸素運動は、内臓脂肪を減らし、インスリンの働きを高めます。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは
COPDには、慢性気管支炎(気管支に慢性的な炎症が生じる病気)と肺気腫(肺胞が少しずつ壊される病気)があり、肺の機能が無症状のうちに低下し、体が酸素欠乏状態になります。
症状
代表的な症状として、階段や坂道で息が切れたり、長引く咳やたんが出ます。
COPDが進行すると、少し動いただけでも息切れし、日常生活がままならなくなり、さらに進行すると、呼吸不全や心不全を起こすため、早期発見・早期治療が重要です。
予防
たばこなどに含まれる有害化学物質を長い間吸い込むことが原因といわれており、禁煙が重要です。