職場で1分間体操を継続/多様な運動のきっかけを提供3期続けて県の健康経営優良法人 エイブリック秋田事業所

2022年04月30日 掲載
エイブリック秋田事業所の転倒災害防止体操。職場ごとにつま先立ち、つま先上げ、スクワットを1分間行っている=今年3月10日

 約380人が働くアナログ半導体製造のエイブリック秋田事業所(大仙市)は、「働く人々の労働に関する負傷および疾病の防止」を経営の最重点事項とする本社の方針に基づき、多様な健康経営の取り組みを推進。3期連続で県の健康経営優良法人に認定されている。

 まず注目されるのが、2019年夏に始めた「転倒災害防止体操」。つま先立ち、つま先上げ、スクワットを毎日1分間、職場ごとに行っている。従業員が冬場に凍結した駐車場で滑って転び、けがをしたことが契機だが、継続によりロコモ予防にもなると期待されている。開始当初、管理職をモデルにしたリーフレットを作って従業員に周知したことで、職場を挙げた実践の機運が醸成された。

ウオーキングイベントに参加し、払田柵跡の紅葉を楽しむ従業員とその家族=昨年11月

 ほかにも前身事業所時代から、「歩こう会」活動に力を入れてきた。チームごとに競わせたり、ポイント制にして一定のポイントがたまると商品を贈呈したり。従業員対象のウオーキングイベントも行っており、昨秋も新型コロナウイルス感染防止策を講じ、国指定史跡「払田柵跡(ほったのさくあと)」の紅葉も楽しめるコースで開催した。

 コースは、産業看護職である秋田事業所総務グループの鈴木康子さんが下見もして選定。イチゴ狩りやサクランボ狩り、やや険しい山など、「特典」や運動強度を工夫し、参加者が固定しないようにしている。「職場の違う人たちがコミュニケーションを深める場にもなっている。今後も続けたい」と鈴木さんは話す。

秋田事業所のアリーナ。ミニテニスや卓球の職場対抗大会が行われる

 今では昼休みに、長さ100㍍以上ある事業所の廊下をウオーキングする従業員もいる。鈴木さんは「歩くことが重要だという意識は定着したと思う」と語る。

 事業所の棟続きに、バスケットボールコートがとれるアリーナが併設されているのも特徴。前身事業所時代に県の助成を活用して建設し、ミニテニスや卓球の職場対抗大会を開いてきたほか、コロナ前は従業員の子弟のスポーツ活動にも開放してきた。

 また、時々の流行のエクササイズを積極的に導入し、「話題だから試してみよう」という興味を喚起。事業所長の高橋宏幸さんは「体を動かすきっかけを提供するようにしている」と説明する。

 またこれまでに、減塩や低カロリーなどをテーマとした「ヘルシー定食」を折を見て従業員食堂で提供するなど、食生活改善も支援。禁煙の奨励も続けている。健診結果をみると従業員平均で前回より著しく改善した項目もあるといい、高橋さんは「実践してきた健康づくりの展開を継続し、さらに盛り上げたい」と意欲を示している。

事業所内の食堂では時折、減塩や低カロリーなどをテーマにした「ヘルシー定食」を提供=昨年6月
彩りも鮮やかなヘルシー定食の一例=昨年1月