予防医学の最新情報を発信/大学生と県民が交流深める「ひと街づくり研究所」を開設▼▼▼秋田大医学部保健学科
秋田大学医学部保健学科は、看護師や理学療法士、作業療法士を志す学生たちと県民が共に健康な街づくりを目指す場として2年前、「ひと街づくり研究所」を開設した。健康増進につながるさまざまな活動を展開し、この時に得られる参加者の身体測定結果などを大学の研究に生かしている。学生が県民と交流を深め、研究成果を地域に還元する場にもなっている。

研究所の運営を支援するイオンと共同で毎月開催しているのが「イオンモール秋田ウオーキング」。秋田市御所野の商業施設イオンモール秋田内を歩く無料イベントだ。研究所の開設前からイオンが実施していたが、研究所が歩く経路を見直し、消費カロリーの掲示や歩き方の指導を取り入れるなど内容を改良した。参加者は体力に合わせて距離の異なる3コースのうち一つを選択。ウオーキングを終えたら血圧などを測定する。そのデータは健康寿命の延伸や疾病予防に関する研究に活用される。

同大大学院医学系研究科保健学専攻長で研究所長を務める安藤秀明さんは「天候に左右されず、買い物のついでに気軽に参加できます。私たちの研究に携わる〝研究者の一員〟として、多くの方に参加してもらいたいです」と呼びかける。
ほかに商業施設の一角で健康に関する悩みを語り合う「コミュニティカフェ」を開催したり、保健学科の学生がイオン東北と共同で健康弁当を開発したりした。また県内の各市町村などが運営するトレーニング施設の利用者を対象にデータ収集や運動指導などを行っている。

同研究所はこれらの活動を通じて予防医学の最新の研究成果を伝えている。例えば、健康維持のための1日の目標歩数は8千~1万歩が目安といわれる。しかし近年の研究により、膝や筋肉などへの負担を考慮すると7千~8千歩が適正といわれるようになってきたという。「このような最新の情報を発信する場として活用していきたいです」と安藤さん。
2025年9月21日にはイオンモール秋田で「あきた健康フェスタ」も開催する予定だ。秋の恒例イベントで、24年は専用の測定機を用いた歩行テストや膝エコー検査などを実施。フレイル検査の一環として前屈、握力測定、立ち幅跳びも測定した。