食と健康のプロがいる薬局/相談、保健指導、健診、活動が多様化管理栄養士を増員▶▶▶サノ・ファーマシー
県内外で薬局61店舗を展開するサノ・ファーマシーグループ(本社秋田市)は「地域の健康生活支援ステーション」を経営ビジョンに掲げる。住民の健康を総合的にサポートする取り組みとして特に力を入れているのが、管理栄養士による健康相談だ。活動は年々多様化しており、管理栄養士の増員も進めている。グループに在籍する管理栄養士は現在23人と、この4年間で10人増えた。

同グループの各店舗では「よろず相談窓口」を設け、薬に関する相談のみならず、食生活や栄養に関する相談に対応する。「血液検査の数値が気になる」「子どもの野菜嫌いに悩んでいる」などさまざまな声が寄せられるという。管理栄養士の佐野真彩さんは「健診で血糖値が高いと指摘されて不安になり、食事を取れなくなったという相談もありました。適切な食事の取り方が分かれば、このような不安は解消されます。身近な地域の薬局に管理栄養士がいて、気軽に相談できることを知ってもらいたいです」と呼びかける。

管理栄養士による特定保健指導の利用者も増えている。特定保健指導は元々、全国健康保険協会(協会けんぽ)の被保険者とその家族を対象に実施していた。その丁寧な指導が好評だったため、薬局の利用者にも対象を広げた。昼休みや仕事帰りの時間帯の相談枠を拡充し、予約を取りやすくしている。
自治体が行うフレイル健診や乳幼児健診に管理栄養士の派遣依頼を受ける機会も増えている。フレイル健診では体組成計で測定した筋肉量や体脂肪量などの数値を基に食生活を指導する。今月からは県内外企業の従業員向けにオンライン健康指導も始めた。
毎年8月の「栄養の日・栄養週間」などに合わせて、グループの各店舗では、日本栄養士会主催のイベント「栄養の力でつながるプロジェクト」も開催している。2024年は7店舗の会場にテントを設置し、健康や食事に関して住民が気軽に相談できるようにした。

このほか交流サイト(SNS)を活用した情報発信も積極的に行っている。24年からはインスタグラムの公式アカウントで食事のレシピを公開し好評だ。
サノ・ファーマシーの創業は江戸時代中期の寛政年間にさかのぼる。薬を調合、販売する「薬種処(やくしゅどころ)」と呉服・小間物商として、住民の生活を支えてきた。地域の健康づくりを担う老舗薬局として、これからも一人一人に寄り添った指導を大切にしていく方針だ。