社員のオーラルフレイルを予防/検査機器導入の取り組み、優秀賞に業務内に特定保健指導も▶▶▶サノ

2025年07月31日 掲載

 検査機器などの卸販売を手がけるサノ(秋田市)は、臨床検査薬や研究機関向けの試薬も販売している。2020年から6年連続で「秋田県版健康経営優良法人」と、経済産業省と日本健康会議が実施する「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」に認定されている。

歯科医師による口腔環境を学ぶ社内セミナー=2024年3月

 社員向けに実施する取り組みの一つが、口の機能が低下する「オーラルフレイル」の予防だ。歯と歯茎の健康状態や、口の中の清潔さなどを測定する唾液検査用装置「SillHa(シルハ)」を期間限定で社内に導入。口をすすいだ水約3ミリリットルを試験紙に滴下して測定する仕組みで、社員一人一人が、自らの口腔(こうくう)内の状態を数値で把握できるようにした。

 その後、歯科医師による社内セミナーを開催。これにより、歯や歯茎を健康に保とうとする社員の意識が高まったという。業務・総務課課長補佐の佐藤正樹さんは「歯磨きや食事の仕方など、セミナーで学んだことを家庭で実践する社員が増えました。多くの気づきが得られたようです」と話す。

唾液検査用装置を使い、口の中の状態を測定する社員

 この取り組みは2024年度、県健康づくり県民運動推進協議会が主催する「健康秋田いきいきアクション大賞」の優秀賞に選ばれた。

 また25年度は、社員が就業時間内に特定保健指導を受けられるように体制づくりを進めている。健康診断で生活習慣病のリスクが高いと判定された40歳以上の社員を対象に、社内で管理栄養士らによる指導を行う予定。今後は、この取り組みを取引先や近隣企業に周知し、地域の健康づくりにも貢献したいという。

 代表取締役の佐野宗孝さんは、企業が成長する上で、社員の健康増進が欠かせないと考え、健康経営に取り組んでいる。「健康づくりに対する社員の意識の高まりに、会社として、できる限り応えていきたいです」と話す。これまでに管理栄養士による栄養セミナーや臨床心理士による心の健康セミナーなども開催。社内の健康づくりに対する意識向上に取り組んできた。今後も社員の声に耳を傾けながら健康経営に取り組みたいという。