町民の生活全般に寄り添う/愛着の湧く通いの場へ 不安を受け止める伴走型の支援▶▶▶藤里町

2024年11月30日 掲載
藤花会の健康相談会の様子。血圧を測り終えても話は尽きない=2024年10月

 藤里町は本年度、高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施する「通いの場」をスタートした。地域住民が集い共に活動することで、地域の介護予防の拠点づくりにつなげることが狙い。住民の集いの場づくりはこれまで自主的な活動であったが、本年度からは、介護予防体操などを町の保健師が実施しており、月一回開催。各地区では毎回15人ほどが集まるという。

藤花会の昼食づくり。タケノコの皮をむきながら話が弾む=2024年5月

 通いの場は、保健師が血圧測定などを行うほか、運動の仕方などの知識を伝える健康教育を実施。また、今年はタケノコの皮むきを皆で行い、たけのこのみそ汁を昼食で味わうなど、季節を感じられる活動や話題を住民と共に共有している。通いの場の愛称は地区ごとに異なる。矢坂上野地区は「藤花会(とうかかい)」、粕毛地区は「和みの会」。愛称に各地区の思いが込められている。

 このほか町内の保育園では、在宅子育て家庭を対象とした「遊びの場」を月に1、2回開催。親の情報交換の場として役立ててもらうと同時に、同年代の子どもたちの成長の度合いを知ってもらう機会につなげている。「在宅で子育てしていると不安なことが多いはず。遊びの場は訪問したその日に保育士、保健師にすぐ相談できるのが利点」と町民課の保健師小山恵里子さん。出生率が低い地域だからこそ、子育てに奮闘する家族の不安に寄り添う態勢がつくられている。

和みの会の健康運動。身近にあるものを使い座りながら体を動かした=同年7月

 同課の保健師たちは口々に「健康のことだけでなく、生活全般に寄り添う伴走型の支援を心がけている」と話す。困りごとや悩みに耳を傾け、解決策を共に考え、不安を解消することが、心と体の健康づくりにつながるからだ。保健師の近藤智里さんは「小さい町だからできる寄り添い方がある。通いの場を開催していない地区の皆さんに『自分たちもやってみたい』と言ってもらえるよう、各地のよい取り組みを共有したい」と話す。