休憩や余暇を運動に活用/「健康は楽しい」意識共有健康経営を推進するローカルパワー

2022年05月31日 掲載
社員にストレッチのポイントを伝授する高橋さん(左)

 除菌消臭水を製造・販売する秋田市のローカルパワーは、ベンチャー企業ならではの俊敏性や機動力を生かした柔軟な働き方を推進し、社員の健康づくりにつなげている。誰でも利用できる体育館を整備し、県民の健康増進にも一役買っている。

 「柔軟な働き方」の一例が出勤時間を繰り上げ、その分、早めに退勤できるようにしていること。「出産や育児、介護などライフステージの変化があっても長く働ける環境にしたい」という寺田耕也社長の思いから、完全リモート勤務や午後のみ出勤する社員もいる。仕事と休憩、プライベートのメリハリをつけることで社員の余暇を創出。その結果、ジムやヨガに通ったり、ウォーキングを習慣にしたりする社員が増えた。

 新型コロナウイルス禍で好調な除菌消臭水の生産に加え、貸し切り体育館などのシェアリング事業やDX(デジタルトランスフォーメーション)事業への参入のため、近年は社員を増員。休憩時間のストレッチは、営業職としての勤務経験が長い中途入社社員の提案で始まった。社内には人工芝を敷いた部屋もあり、寝転がってストレッチをする社員もいるという。

 昨年11月に全国健康保険協会(協会けんぽ)秋田支部が推奨する「健康経営宣言」事業所に登録され、今年3月には県認定の健康経営優良法人に認定された。社員は「健康でいることが楽しい」という共通認識を持てるようになったという。

20年4月にオープンした「みんなの体育館やばせ」。社員や県民の健康増進に一役買っている

 木材倉庫をリノベーションし、2020年4月にオープンさせた「みんなの体育館やばせ」(秋田市八橋南)は貸し切りにして球技などを楽しめる。同社の社員有志は昨年、体育館でスポーツ交流会を開催。家族も参加し、フットサルやテニスで汗を流した。

 広報担当の石塚彩子さんは「『運動したいがジムに行くのは気後れする』『運動しているところを誰かに見られたくない』といった声に応えられる。気軽に利用してほしい」と話す。

 今春、社会人ラグビー・トップイーストリーグAの秋田ノーザンブレッツ(秋田NB)に加入した高橋泰地さんが入社した。「首を前後左右に倒してください」「パソコンを使って疲れているので手を伸ばしましょう」―。高橋さんはプロスポーツ選手としての知識やスキルを生かし、ストレッチのポイントなどを社員に伝授している。

人工芝が敷かれた社内の一室。集中力アップの効果に期待して、昇降式デスクも配置している

 「ずっと座った状態で仕事をしていると血流が悪くなる。首や肩、腕を伸ばして血流を良くすると体がぽかぽかしてくる」と高橋さん。高橋さんを交えたレクリエーションを開催する計画もある。社員一丸となり、健康増進に向けてさらなる新風を吹き込みたい考えだ。