多彩な講話や歌で元気に 地域に根付く憩いの場/「お茶っこサロン」が好評の男鹿市
男鹿市は2009年から、心の健康づくりや自殺予防に向けた活動の担い手となるメンタルヘルスサポーターを養成している。12年に市のメンタルヘルスサポーターになった佐藤榮一さん(79)=同市船川港=は、市民が集い講話や歌を楽しむ「お茶っこサロン」を開催しており、今年で12年目。高齢者らの憩いの場となっている。
お茶っこサロンは毎月3回、船川、北浦、脇本の3地域で開催しており、1回1時間半~2時間。今月12日に船川のハートピアで開かれた際は、市民約20人が参加。佐藤さんが自ら講師となり、桜をテーマに講話した。「桜が秋に咲かないのはなぜでしょう」などと問い掛ける場面が多く、参加者は首をひねって考えたり、メモを取ったりしながら熱心に聞いていた。
続いて、「七つの子」「椰子(やし)の実」などの童謡や唱歌を十数曲歌い、佐藤さんが歌詞の内容を解説した。このほか、誤嚥(ごえん)を防ぐための訓練として知られる口の体操「パタカラ体操」をしたり、ソーラン節を踊ったりした。
佐藤さんは「季節に合わせたテーマで、本で調べた内容に基づいて講話をしている。5月は『茶摘み』に関する話をする予定」と話す。自殺予防の一助にしたいとの思いで活動を始めたといい、「市民が明るく生きるきっかけになればいい」と願う。
外部講師を招くこともあり、市は講師の仲介をするなどして佐藤さんの活動をサポートしている。参加者から市に「お茶っこサロンが一番の楽しみ」「歌を歌ってすっきりした」といったお礼の手紙も届く。
市に登録しているメンタルヘルスサポーターは79人(昨年6月末現在)。3年に1回の養成講座は今年、秋ごろから全3回にわたって開催する予定。例年、臨床心理士や精神科の医師らを講師に招いて学んでいる。
市健康推進課の田口貴久子主幹は「自分の心と体にしっかりと向き合うことが健康増進につながる。地域で活躍できるメンタルヘルスサポーターを増やし、市民が気軽に参加できるお茶っこサロンのような活動が広がってくれたらうれしい」と話した。