高齢者の「通いの場」づくり推進/支え合う地域目指す短期集中サロン化支援事業を展開 ▷▷▷潟上市

2024年01月31日 掲載
サロン化支援事業に参加した飯田川下虻川地区の住民たち。ラダーを使った脳トレに挑戦=2022年12月

 潟上市では、高齢者らが集い交流を楽しむ「サロン」づくりに力を入れている。自治会や老人クラブなどが主体となり、集会所などで週1回継続的にサロンを開催することを推奨。効果的なサロン運営をサポートする「短期集中サロン化支援事業」を展開している。

週1回のサロン開催を目指し、運営の役割分担を話し合った

 市地域包括支援センターの石黒聡子さん(保健師)は「高齢になっても住み慣れた地域で元気に自立して暮らしてほしい。高齢者がサロンを通じて心身の健康を保ち、顔の見える関係を築き、互いに支え合う地域をつくっていきたい」と話す。サロンで何をしたらいいか悩む声が多いといい、「集まっておしゃべりを楽しむのもいいが、身体能力や認知機能の向上につながるようなメニューを組み込むのが理想」と言う。

 サロン化支援事業の期間は半年間。実際のサロンを想定したプログラムで構成されており、保健師や健康運動指導士、社会福祉協議会の生活支援コーディネーターが週1回支援地区に出向いて指導し、住民にプログラムを実践してもらう。軽いダンベルを持って上半身の関節を動かす運動や、下半身を鍛えるスクワット、はしごのような形をしたトレーニング用具「ラダー」を使った脳トレなどを行う。認知症や尿失禁といった疾患予防の学習も取り入れている。

 半年間の支援終了後には自立してサロンを開催できるよう、住民一人一人の役割分担も話し合う。石黒さんは「サロンを継続的な『通いの場』にするために、バリエーション豊かな取り組みをしてほしい」とアドバイスする。

サロンの必要性などを学んだ介護予防ボランティア養成講座=昨年12月

 事業は2017年度に始まり、昨年度までに支援した12地区のうち8地区は現在も週1回のサロンを継続している。サロン運営のリーダー的役割を担う人材を育成するための「介護予防ボランティア養成講座」も合わせて開催しており、サロン活動の事例や運営のポイントなどを伝えている。

 サロンに通う人の体力測定や認知機能検査をし、サロンの効果を検証する取り組みも秋田大と連携して行っている。石黒さんは「検証結果を生かしながら、サロンの必要性をさらに広く訴えていきたい」と力を込めた。