避難する体力養う教室/サークル支援、心も元気に地域の健康拠点を運営 ▶▶▶正和会グループ

2025年10月31日 掲載

 潟上市の正和会グループは「ひとが、まんなか。」を理念に掲げ、医療、介護、福祉を通じて地域に寄り添ってきた。医療施設や介護老人保健施設、ショートステイなど、関連施設は県内50カ所。さらに自治体と連携し、地域全体の健康寿命を延ばす活動にも取り組んでいる。

トレイクかたがみで開催したロコモティブシンドローム予防教室=2024年11月

 その活動の一つが潟上市の防災・健康拠点施設「トレイクかたがみ」の運営だ。指定管理者となり7年目を迎える。ロコモティブシンドローム(運動器症候群)予防や生活習慣改善などの教室を開催している。2024年度は延べ4万7千人が利用。地域の健康拠点となっている。健康運動指導士で健康推進部門長の登藤裕光さんは「運動のほかに、栄養や睡眠も含めた健康情報を発信し、地域全体の体力底上げを目指したいです」と語る。

男鹿市の魅力を発信する「寒風山展望台でヨガ教室」=2023年9月

 男鹿市の事業にも関わっており、男鹿市総合体育館での「男鹿トレ健康教室」のほか、市内各所でも年間60回ほど開いている。「健康寿命を3年延ばす」「セルフケア」などテーマを変えて実施。中でも特徴的なのが、災害時に避難するための体力を養う実践的なプログラムだ。参加者を対象にしたアンケートでは、「避難場所は知っているが避難するための体力に自信がない」と答えた人が半数に上ったため、地域ごとに運動の内容を変えて実施。防災士が現地を訪れ避難経路の坂道や階段を調査して、運動メニューを考えている。男鹿地域リハビリステーション管理者で防災士の資格を持つ菅原誠一さんは「防災のための体力づくり事業は全国的にも珍しいと思います。広がってほしい取り組みの一つです」と話す。

運動会で交流を深める職員と家族=2025年6月

 正和会グループの800人を超える職員が健康づくりに取り組むめるよう、職場環境づくりも重視している。家族と一緒に参加できる運動会を開催しているほか、野球、バレー、マラソン、ヨガなど10のサークル活動を支援し、世代や部署に関わらず交流を促進している。バレーボールサークルに所属する社会医療法人正和会総務課長の柴田俊太郎さんは「サークル活動は心の健康づくりに役立っています。ここで築かれた横のつながりにより、異動の心理的負担が軽減されたり、離職防止になったりしていると感じます」と話す。サークルの練習には、地域の中学生が参加することもあり、部活動の支援にも貢献している。