高齢になっても筋力維持を/10年以上続く少人数制教室組織の垣根越え、運動の機会提供▶▶▶東成瀬村

2025年08月31日 掲載

 東成瀬村健康福祉課が主催する「筋力アップ教室」は10年以上続く取り組みだ。40~74歳と、75歳以上の二つのクラスを設け、健康運動指導士と保健師が指導している。一クラス当たりの受け入れ人数は10人以下。少人数制の丁寧な指導が特長だ。教室は週1回2時間で、前半はストレッチ、後半はトレーニングマシンを使った運動や有酸素運動を行う。5カ月かけて筋力アップを図る。

有酸素運動などを行った筋力アップ教室=2025年8月1日

 初回と最終回の前に体力測定や体組成測定を行い、成果を「見える化」している。参加者からは「体が軽くなった」「これからもトレーニングを続けたい」といった声が寄せられ、リピーターも多い。

 同課の保健師は「5カ月間の教室終了後も運動を続けられるよう、自宅でできるストレッチを記載したチラシを配布したり、筋力アップに取り組むサークルを紹介したりしています。住民のサークル活動は村教育委員会の管轄ですが、組織の垣根を越えて、運動継続を支援しています」と話す。

健康づくりセミナーの会場には100人を超える参加者が集まった=2025年7月26日

 一方、年1回開催する「健康づくりセミナー」は、全世代の健康意識の向上を目的としている。今年7月には、福井大学医学部教授の井階友貴さんが「地域主体の医療づくりとつながりづくり」をテーマに講演。井階さんは地域交流の回数が減ると死亡率や要介護リスクが上昇する傾向があることなどを紹介し、地域を挙げて健康づくりに取り組むことの大切さを説いた。参加者は真剣な表情で聞き入っていたという。

 同課は地域包括支援センターやこども家庭センターなどの役割を一手に担っている。担当者は「健康、子育て、介護などの窓口が一つになっているため、保健師は子どもから高齢者まで幅広い年代の健康と生活を支援することができます」と説明する。在籍する3人の保健師が中心となり、住民に寄り添って柔軟に対応しているという。

 村では近年、成瀬ダムの建設関係者や地域おこし協力隊の移住などにより若者の人口が増加傾向にある。幅広い世代に対して、地域に活気をもたらす村づくりが求められており、多世代に向けた健康づくりの取り組みも一層重要性を増している。