食べることは生きること/推進員が地域密着で活動 減塩運動を強化する五城目町

2018年08月01日 掲載

五城目町役場の正面玄関を入ってすぐ右側に掲げられた健康宣言のパネル。足を止めて興味深げに見ていく来庁者も

 五城目町役場の正面玄関を入ると、ホール右側の壁にパネルが掲げられている。そこに記されているのは「食生活改善運動を展開し、減塩に取り組む家庭を毎年50世帯増やします」という目標。県全体で目指す健康寿命日本一に向け、町が最重点で取り組むことを「あきた健康宣言」として町民に示したものだ。

雀舘地区公民館で開催された「減塩出前講座」。雀舘町内さくらの会では積極的に食生活改善に取り組んでおり、今年は受講者の新たな掘り起こしに力を入れる

 同町は県内でも食生活改善運動が盛んな地域で、10年以上前から町内各地区で出前講座の「減塩教室」などを開催している。しかし、参加世帯が固定化しつつあるほか、町が2013年に実施した調査では「減塩に取り組んでいる」と回答した町民は48%と半数以下にとどまる。

 そこで、県民運動の実施を機に減塩対策を再検討。減塩教室への参加世帯が年間160ほどであることを踏まえ、その約3割に当たる50世帯を毎年新たに減塩運動に取り込むことを目標に据えた。町健康福祉課は「無関心層への意識付けが課題であり、地域に密着した活動を加速させたい。健康で元気な町民が増えることは、町の活性化にとっても重要なこと」と話す。

減塩をテーマとした寸劇で熱演する「だまこ座」のメンバーたち。秋田弁とコミカルな演技で会場はいつも大いに盛り上がる

 目標達成の鍵を握る実働部隊が、町食生活改善推進協議会(坂谷晃会長)のメンバー46人だ。07年に発足した同協議会は「食べることは生きること」をモットーに、アイデアと工夫を凝らして意欲的な活動を展開している。

 中でも町内外の注目を集めているのが減塩教室で行っている寸劇。協議会メンバーでつくる劇団「だまこ座」が、秋田弁とコミカルな演技で会場の笑いを誘いながら減塩の大切さを訴えている。昨年の県芸術文化振興大会でも熱演を披露して喝采を浴びた。

町食生活改善推進協議会のメンバーたちが手作りしたパッチワークの「食事バランスガイド」。縦185センチ、横144センチの大作で、出前講座で活躍している

 こうした出前講座の充実に加え、協議会は伝承料理のレシピ普及や災害時に簡単に料理を作れる非常食メニューの紹介などにも力を入れる。「生きる」基本である食への理解を深めてもらうためだ。

 「健康づくりは待っていては駄目。地域に飛び込んで活動しなければ」と食生活改善推進員たち。小中学生ら若い世代への啓発も重要だとし、次代を見据えて健康づくりの輪を広げていく方針だ。

食育は幼い頃から取り組むことが肝心。もりやまこども園で開かれた親子の食育教室では推進員が先生となり、親子と一緒にロールサンド作りを楽しんだ