食と健康「永遠のテーマ」/減塩や野菜摂取増へ奮闘 横手市食生活改善推進協議会
「ニンジンご飯です。試食してみませんか」。横手市の大型店でこんな声が響いた。9月上旬、市食生活改善推進協議会(市食改)と市健康推進課、店舗側が連携して開いたイベントだ。買い物客は呼び掛けに足を止め、すりおろしたニンジンとみじん切りのピーマン、ツナ缶を炊き込んだご飯を味わっていた。
同市の食改には222人の推進員がいる。県内他地域の食改と同様、減塩レシピや、野菜をたくさんとれるメニューの普及を図っている。実際に調理して食べてもらう場を設け、食生活を見直す機会を提供している。
推進員がレシピを共有して地域住民に紹介する「伝達講習会」は昨年度70回開かれ、延べ1539人が参加。だしや香辛料を利かせると塩分を抑えられることなどを伝えている。本年度も「野菜たっぷり&減塩メニュー」と銘打ち、厚揚げの酢豚風と、キャベツ、桜エビ、ヒジキのわさびじょうゆあえの2品を、合併前の旧市町村ごとに八つの支部で広める。
ほかにも市食改の支部単位で、ライフスタイルに応じた教室を展開。「おやこの食育教室」では小学生と保護者にバランスの取れた食事について考えてもらう。「男性のための料理教室」は、地域活動に男性が参加する契機にもなっている。
推進員の育成にも力を入れており、本年度の養成講座(全5回)の初回には30代の男性を含む18人が参加。今年推進員になったという60歳の女性は「食は永遠のテーマ。その勉強ができるのがうれしい」と前向きだ。
市の調査によると、市内の成人の1日当たり塩分摂取量は国が示した目標量(男性8グラム未満、女性7グラム未満)を上回っている。市食改は市と連携し、今後も「野菜たっぷり&減塩」の普及に力を注ぐ。
「楽しみながらできる活動を心掛けたい。自分でやってみて良いと感じたことは周りにも伝えたいと思うものだから」と市食改の藤田ミキ子会長(60)。肩肘張らずに「永遠のテーマ」と向き合い、持続可能な取り組みを模索し続ける。