再検査をフォローアップ/就業規則改定し休暇制度創設 社員の健康に寄り添う湯沢市・和賀組

2018年11月05日 掲載

湯沢市柳町の本社には血圧計が常備され、社員はいつでも利用できる

 湯沢市の建設業「和賀組」は、社員の健康が会社の業績に直結すると考え、健康診断とその後のフォローアップに徹底して取り組んでいる。今年2月には、社員の健康管理を戦略的に進めているとして、経済産業省の「健康経営優良法人2018」にも認定された。

仕事の進捗(しんちょく)状況について、社員と話し合う和賀社長(右から2人目)

 和賀幸雄社長によると、数年前までは再検査の通知が届いても、放置したままの社員がいたという。「中小企業にとって、社員が一人でも病気で欠けるダメージは大きい。熟練の技術者ならなおさらだ。このままではまずいと考え、社員の健康について、しっかり把握し、指導することにした」と話す。

 2年ほど前から毎年の健診で再検査を求められた社員に対し、必ず医師の診察を受けるよう促している。取り組みを強化した結果、3人の社員から初期のがんが見つかり、「再検査の大切さを痛感した」と振り返る。

同社は今年2月、健康経営優良法人の認定を受けた

 こうした教訓を基に、同社は今年4月、就業規則を改定。再検査を求められた社員が医療機関を受診するための休暇制度を創設した。さらに「禁煙手当」も導入し、たばこを吸わない社員に月3千円を支給する取り組みも始めた。

 景気の回復基調や人口減を背景に、建設業を含む多くの県内企業が厳しい人手不足に直面している。同社は、従業員の健康に寄り添う姿勢をトップ自ら示すことが企業価値を高め、人材確保の面でも大きなアドバンテージになると考えている。

健康経営に積極的に取り組む湯沢市の和賀組

 同時に、和賀社長は少子高齢化が進む本県こそ女性の活躍が欠かせないとも主張。「建設業に対する従来のイメージを変えながら、女性の働きやすい職場づくりを進め、人手不足対策につなげたい」と意気込んでいる。

健康の大切さを社員に理解してもらおうと、和賀社長がまとめ、給与明細に添付しているリポート「不易流行」

 現場を抱える社員も多い中、健康の大切さを社員に理解してもらう手段として、和賀社長自らまとめた健康などに関するリポート「不易流行」を給与明細に添付する取り組みも実践している。

 従業員が健康を保ち、長く勤務してもらえるよう健康経営に一層取り組むつもりだ。