自分のペースでウォーキング/自然に包まれ気分爽快 クアオルト事業で健康づくりを進める三種町

2018年12月17日 掲載

仲間と声を合わせて「ヤッホ」。ストレス発散とともに、肺の空気を入れ替える効果もある

 三種町はウォーキングと温泉浴を組み合わせたクアオルト(健康保養地)事業に取り組んでいる。高齢者や地元住民はもちろん、町外から訪れる人もおり、交流人口の拡大にも一役買っている。

ウォーキングの前には念入りに準備運動

 10月上旬の午後、石倉山公園に町内の60~80代の女性9人が集まった。加齢で筋肉や関節が衰えて移動機能が低下するロコモティブシンドロームの予防を目指し、町が公募した運動モニターだ。

 「事故の9割は下り坂で起きています。今朝は雨が降ったので十分注意してください」。ガイドのアドバイスを受けて丸太の階段をゆっくり下り、2キロ余りのコースを歩きだした。季節ごとに変わる景色を楽しみながら、仲間と気軽に体を動かせるのが特徴だ。

自然の中、ガイドに導かれ丸太の階段を下りる女性たち=三種町の森岳温泉石倉山コース

 クアオルトは療養地や健康保養地を意味するドイツ語。先進地のドイツでは医療施設や温泉を併設した保養地が各地にあり、自然療法を受ける患者には公的な医療保険が適用される。ドイツをモデルに、日本では健康づくりに重点を置いた取り組みが2008年に山形県上山市でスタート。現在は全国10市町が日本クアオルト協議会をつくり、県内では三種町が加盟する。

歩き終えた後は血圧測定。日頃からの体調管理が大切だ

 自然の地形を生かしたウォーキングコースは石倉山、琴丘、釜谷浜の三つ。琴丘は年間を通して利用できる。運動の後は森岳温泉ゆうぱる、森岳温泉ホテル、ホテル森山館、砂丘温泉ゆめろんで疲れを癒やし、食事も楽しめる。

 石倉山コースを出発した女性たちが1時間半ほどで戻ってきた。最高齢の安藤トシさん(88)は「すっきりして爽快。みんなと一緒なので楽しい」と笑顔を見せた。

無理せず、自分のペースで歩くことが肝要

 別の日には秋田市の会社員約20人が同じコースで汗を流した。展望台からは男鹿半島や白神山地も見渡せる。ガイドの合図で「ヤッホ」と大声で叫び、日頃のストレスを発散していた。

 クアオルト健康ウォーキングで大切なのは頑張らず、無理しないこと。三種町クアオルト推進室の西村直仁さんは「ただ黙々と歩くのではなく、全身で自然を感じ、雑談しながら楽しんでほしい」と話している。

 クアオルト事業についての問い合わせは三種町クアオルト推進室☎0185・85・4822

石倉山コースの展望台からは男鹿半島などが見渡せる