働き盛り世代へ意識啓発/職場で共有・浸透を期待 「健康達人講座」を展開する秋田経済同友会
経験を積んだ40代、50代はどの職場でも重要な戦力だ。仕事に忙殺されがちなこの世代に、いかに健康管理の意識を持ってもらうか。県内企業・団体の120人が名を連ねる秋田経済同友会はこの課題に向き合い、「ビジネスマン健康達人講座」を展開、好評を博している。
同友会は健康寿命の延伸に貢献しようと、2015年夏ごろから地域開発委員会を中心に研さんを積んできた。長寿県・長野を訪ねてさまざまな取り組みについて学んだほか、会員企業・団体に対して健康づくりに関するアンケートを実施。これらを基に昨年2月、「生涯、元気に暮らせる秋田」の実現に向けた提言もまとめた。
健康達人講座はこうした流れを受けた取り組みで、昨年初めて実施。今年も26社・団体の36人が9月から来年2月まで5回の講座に臨んでいる。初回は秋田大大学院医学研究科の廣川誠教授(総合診療・検査診断学講座)が、▽毎日10分の運動▽1日350グラムの野菜摂取▽禁煙▽健診・検診による疾病の早期発見―の重要性を訴え、健診結果の見方を伝えた。
10月には「たばこと健康」「運動を始めるこつ、続けるこつ」、11月には「メンタルヘルス」をテーマに開催。12月は参加者が管理栄養士の講話を聞き、理想的な食事を実際に味わった。秋田市の企業に勤務する40代の受講者は「この講話を通じて私自身、健康について考えるようになった。学んだことを同僚に伝え、福利厚生の業務に生かしたい」と語る。
同友会によると、行政はさまざまな健康づくりの取り組みを推進しているが、40代以上の世代に対する働き掛けに苦慮しているという。経営者にとってもこの世代の健康管理が課題とされている。
健康達人講座はこうした課題の解決に向けた一策で、費用を会員企業・団体の負担としているのがポイントだ。経営者から業務の一環として参加を命じられれば、受講者が「お金を払っているのだから真剣に学ばなければ」と思うであろうことを見越した。
佐藤典(ちかさ)専務理事は「大手企業なら単独で取り組めるだろうが、秋田では企業横断で進めなければ広がらない」と、同友会として主催する意義を強調。講座の内容が各職場で共有されて健康意識が浸透することを切実に願っている。