地元の民謡で手軽な体操/「口の健康」意識し介護予防 「だいせん[ドンパンお口の体操]」普及に取り組む大仙市

2019年01月15日 掲載

ドンパンお口の体操で口を開けて発声する「はつらつ教室」の参加者

 思わず手拍子を打ちたくなるような、軽快な節回しが特徴のドンパン節。これに合わせ、口や舌、首などを動かし、介護予防につなげるユニークな体操がある。その名も「だいせん[ドンパンお口の体操]」。ドンパン節のふるさと大仙市が普及に取り組んでいる。

お口の体操には首を倒す動きもある

 昨年12月下旬、認知症予防のための「はつらつ教室」(大仙市主催)が同市高梨の「さくまろ館」で開かれた。市仙北地域の参加者12人が、教室の冒頭で約4分間、お口の体操に取り組んだ。

 ドンドンパンパン、ドンパンパン…。おなじみの旋律と1番の歌詞が流れると、参加者は深呼吸をしてから首を左右へと交互に倒したり、ゆっくりと回したり。歌詞が3、4番に入ると今度は口を開閉させて「あ」「ん」「う」「い」と大きな声で発声。音楽に合わせて舌を出したり、顎の下を両手の親指でやさしく押したりした。

 参加者には「楽しい体操」と好評だ。「普段はやらない動きをするのがいい」と同市戸地谷の男性(86)。同市板見内の女性(83)は「簡単にできるから、自宅に帰って自分でもやっている」と話す。

お口の体操の流れを紹介するイラスト

 体操の狙いは食事を取ったり、言葉を発したりする口の機能を衰えないようにすることだ。舌を出し入れするのは舌の動きを良くするため。顎の下を押すのは唾液腺を刺激して唾液が出るのを促す狙いがある。市によると体操をした人には「口の中が潤った感じになる」との声がある。

はつらつ教室では、お口の体操のほかにも、さまざまな運動に取り組んでいる

 市地域包括支援センター東部の担当者は「年齢を重ねても肉や魚などをしっかり食べて栄養を摂取し、骨や筋力を維持することが必要。スムーズに会話できるようにすることも大切だ。口の健康を保つことは介護予防にもつながる」と説明する。

 体操は大仙市が2016年、県歯科衛生士会の協力を得てつくった。はつらつ教室をはじめ、市の各種教室や自主サークルで参加者に取り組んでもらっている。

 市は今後も体操の普及に力を入れる方針。郷土の民謡に負けないくらい広く浸透させたい考えだ。