官民一体で受動喫煙防止対策/飲食店への浸透を重視 本荘由利地域の「おいしい空気推進協議会」
受動喫煙防止対策を強化する改正健康増進法が成立し、今年7月から学校や病院などが屋内全面禁煙となる。県は改正法より厳しい規制を盛り込んだ条例の制定に向けて動きだした。関心の高まる受動喫煙対策を柔らかく表現して名称に盛り込んだ「おいしい空気推進協議会」は、由利本荘、にかほ両市の官民でつくる組織。県内で先進的な取り組みを展開している。
「貴店にまた来たいのでお伝えします たばこの煙で困りました おいしい空気(受動喫煙防止対策)をよろしくお願いします」―。飲食店などの利用者が、たばこの煙で困った際のメッセージカードの文面だ。カードはテーブルに置いたり、店員に渡したりして活用できる。
推進協の提案を受け、事務局の県由利本荘保健所が2016年度に作成。管内のイベントなどで配布し、活用を呼び掛けてきた。同保健所は「店にとっては、お客さんの声が最も効き目がある。受動喫煙対策を考えてくれるきっかけになるのではないか」とカードの狙いを説明する。本年度からは、県が県内全域で配布、活用を進めている。
推進協は16年度に設立された。同保健所の呼び掛けに応じて20団体が参加しており、医師会や薬剤師会、商工会などのほか、飲食業界も名を連ねる。飲食店については、同保健所が最も不特定多数の人が出入りしやすい施設として重視。カードの導入のほか、担当者が団体の総会などに出向き受動喫煙防止対策の重要性を訴えている。
敷地内または屋内禁煙に取り組む受動喫煙防止宣言施設として県に登録している県内365施設(18年10月末時点)のうち、同保健所管内は56施設で、秋田市保健所管内の125施設に次いで多い。飲食店に限ると、県内31施設のうち県由利本荘保健所管内が15施設と最多だ。
県は条例で、従業員を雇う飲食店を規模にかかわらず原則屋内禁煙とする方針。同保健所は「推進協が飲食店に対策を受け入れやすい土壌になっている」とし、管内でさらなる浸透を図る考えだ。