受動喫煙防止へ数値目標/事業所への周知に注力「宣言施設」50カ所目指す八峰町

2019年03月04日 掲載

受動喫煙防止宣言施設の登録書を手にする八森郵便局の職員ら

 昨年10月30日夕、仕事を終えた12事業所の約20人が八峰町役場に集まった。町が開いた「受動喫煙防止対策についての事業所説明会」に参加するためだ。町福祉保健課の担当者は冒頭、「趣旨を理解いただき、(受動喫煙防止に)賛同をお願いしたい」と訴えた。

町が呼び掛けて開いた「受動喫煙防止対策についての事業所説明会」=昨年10月30日、八峰町役場

 本県では建物内や敷地内を禁煙とした事業所について、県と全国健康保険協会(協会けんぽ)秋田支部が、市町村の協力を得て「受動喫煙防止宣言施設」に登録している(登録には申請が必要)。県全体では2017年3月末で120カ所だったが、今年1月10日には386カ所まで増えた。

 八峰町は18年度、町内の宣言施設(18年度当初2カ所)を10年間かけて50カ所に増やす計画を打ち出した。説明会はその一環として町内の事業所に呼び掛けて開催。背景には、町民の喫煙習慣がある。

 県の「健康づくり支援資料集」によると、特定健診受診者への質問で「たばこを習慣的に吸っている」と答えた人を数値化して県平均を100とした場合、八峰町の男性は県内市町村で2番目に高い115・3、女性は3番目の135・5という値となった。町が宣言施設の具体的な数値目標を掲げたのは、町民の健康増進を図り、県が取り組む健康寿命日本一に貢献しようという意欲の表れだ。

説明会で配られた受動喫煙防止宣言施設募集の文書を熟読する参加者

 説明会では能代保健所の永井伸彦所長がたばこの害について講話。先行事例の発表もあり、17年9月に宣言施設となった嶋田建設(同町峰浜)の担当者が、登録申請の理由について「社員の健康を経営資源として考えた」などと述べた。受動喫煙防止を宣言したことにより、社員の健康意識が高まったという。

 その後、同町の宣言施設は説明会参加事業所を中心に、17カ所に増加(1月10日現在)。このうち5カ所は郵便局で、八森郵便局の加藤知徳局長は「建物内は以前から禁煙だったが、役場からの呼び掛けもあり、町内5局で登録申請した。登録によって受動喫煙防止を対外的にPRでき、職場のイメージ向上につながると思う」と話す。

 町福祉保健課は「新年度はさらに町内事業所への働き掛けを強めたい」としている。受動喫煙防止の宣言が健康経営実践の一環となるだけでなく、顧客や地域住民の評価につながることを周知したい考えだ。