正しい栄養知識を県民へ/全ての世代に「切れ目なく」啓発と指導に奮闘する県栄養士会

2019年03月18日 掲載

潟上市での「天王グリーンランドまつり2018」では栄養士が来場者の相談に応じるコーナーを開設=昨年8月

 県内の幼稚園や保育園、学校、病院、福祉施設などで、栄養士が活躍している。食事や栄養に関する正確で最新の知識を、ライフステージに応じて提供。公益社団法人の秋田県栄養士会には約670人が名を連ねており、栗盛寿美子会長は「赤ちゃんからお年寄りまで、世代による(栄養指導の)切れ目がないようにしたい」と話す。

園児対象の「うすあじ教室」で、子どもたちは紙芝居を用いた栄養指導に興味深げに聴き入っていた=昨年10月、秋田市の愛美保育園

 園児向けには、栄養士が出向いて「うすあじ教室(栄養出前講座)」を展開。昨年10月に秋田市の愛美(めぐみ)保育園で開かれた教室では、3~5歳児約20人と一部の保護者が、野菜の整腸作用などを紹介する紙芝居を見たり、だしを利かせて塩分を抑えたみそ汁を味わったりした。五感に訴え掛ける内容に、津谷ゆき子園長は「食育は小さいうちから行うことが大切。教室を開いてもらって良かった」と喜んだ。

 県栄養士会は、子どもが薄味に慣れることで味覚が養われて偏食を防ぎ、将来の疾病予防が期待されるとする。▽麺類の汁は残す▽しょうゆやソースは「かける」のではなく「つける」▽揚げ物や焼き魚にはレモンや酢の酸味を利用する―などを、家庭でも実践してほしいとしている。

県栄養士会が県の委託を受けて高校2年生向けに作ったリーフレット

 本年度は県の委託を受け、高校2年生に配るリーフレットを作成。「増ベジ 減ソル」のキャッチコピーを掲げて図や写真を多用し、野菜(ベジタブル)をとり、塩分(ソルト)の摂取量を減らそうと訴えた。今年2月に完成させて県内各校に送ったところ、「(生徒が)食生活を振り返るきっかけになった」「職員にも回覧し、好評だった」などの反応があった。

昨年11月、秋田市の県社会福祉会館で開かれた栄養指導技術研修会。こうした栄養士の研修は頻繁に行われている

 多くの栄養士は所属する職場で奮闘しているが、仕事の中身は、例えばそこが学校か、高齢者が生活する施設かで異なる。このため県栄養士会の嘉藤久美子常務理事は「会は横のつながりをつくる接着剤でありたい」と言い、栗盛会長も「(栄養士が)どんな取り組みをしているか伝え合い、活動のヒントを得られる会にしたい」と願う。

 栄養士たちは市民が集う各種イベントで食に関するブースのボランティアとして啓発に努めているほか、会としても一般向けの講演を行うなどしている。栗盛会長は「県民の皆さんと直接関われる活動に今後も力を入れたい」と語った。

「めざせ健康寿命日本一!応援フェア」では、佐竹敬久知事が栄養士と談笑=昨年12月、秋田市のイオンモール秋田