正しい栄養知識を県民へ/全ての世代に「切れ目なく」啓発と指導に奮闘する県栄養士会
県内の幼稚園や保育園、学校、病院、福祉施設などで、栄養士が活躍している。食事や栄養に関する正確で最新の知識を、ライフステージに応じて提供。公益社団法人の秋田県栄養士会には約670人が名を連ねており、栗盛寿美子会長は「赤ちゃんからお年寄りまで、世代による(栄養指導の)切れ目がないようにしたい」と話す。
園児向けには、栄養士が出向いて「うすあじ教室(栄養出前講座)」を展開。昨年10月に秋田市の愛美(めぐみ)保育園で開かれた教室では、3~5歳児約20人と一部の保護者が、野菜の整腸作用などを紹介する紙芝居を見たり、だしを利かせて塩分を抑えたみそ汁を味わったりした。五感に訴え掛ける内容に、津谷ゆき子園長は「食育は小さいうちから行うことが大切。教室を開いてもらって良かった」と喜んだ。
県栄養士会は、子どもが薄味に慣れることで味覚が養われて偏食を防ぎ、将来の疾病予防が期待されるとする。▽麺類の汁は残す▽しょうゆやソースは「かける」のではなく「つける」▽揚げ物や焼き魚にはレモンや酢の酸味を利用する―などを、家庭でも実践してほしいとしている。
本年度は県の委託を受け、高校2年生に配るリーフレットを作成。「増ベジ 減ソル」のキャッチコピーを掲げて図や写真を多用し、野菜(ベジタブル)をとり、塩分(ソルト)の摂取量を減らそうと訴えた。今年2月に完成させて県内各校に送ったところ、「(生徒が)食生活を振り返るきっかけになった」「職員にも回覧し、好評だった」などの反応があった。
多くの栄養士は所属する職場で奮闘しているが、仕事の中身は、例えばそこが学校か、高齢者が生活する施設かで異なる。このため県栄養士会の嘉藤久美子常務理事は「会は横のつながりをつくる接着剤でありたい」と言い、栗盛会長も「(栄養士が)どんな取り組みをしているか伝え合い、活動のヒントを得られる会にしたい」と願う。
栄養士たちは市民が集う各種イベントで食に関するブースのボランティアとして啓発に努めているほか、会としても一般向けの講演を行うなどしている。栗盛会長は「県民の皆さんと直接関われる活動に今後も力を入れたい」と語った。