従業員の元気、貴重な資源/心身のリスク低減へ啓発「健康経営宣言」を推奨する協会けんぽ秋田支部

2019年05月15日 掲載

働き世代への食事など生活習慣の改善についてアドバイスをする協会けんぽ秋田支部の管理栄養士

 県内の中小事業所に勤める人とその家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)秋田支部(中田博支部長)は、加入事業所の健康増進支援に努めている。その一つが「健康経営宣言」の推奨。従業員の健康は重要な経営資源であるという意識の浸透に向け、あらゆる機会を捉えて啓発を続けている。

協会けんぽの保健師が事業所などへ出向いて健康に関する講演を行っている(写真は県トラック協会のセミナーでの様子)

 同支部は1万5897事業所(加入者32万9293人、今年2月末現在)の健康保険をカバー。加入者を対象とした2016年度の生活習慣病予防健診結果によると、本県の受診者の「リスク保有率」は全国平均を100%とした場合、《別表1》の通りメタボと脂質で男女とも全国ワースト。血圧も男性がワースト、女性がリスクの高い方から2番目となるなど憂慮される状況だ。

協会けんぽ秋田支部の資料から転載

 健康経営宣言の推奨は、こうした状態を職場単位の取り組みを通じて改善してもらおうと16年4月にスタートした。同支部の保健師や管理栄養士が事業所での保健指導や無料出張講演などの際に健康経営を紹介し、事故や労災の予防、休業による労働損失の抑制などのメリットを説明。従業員の健康を大切にする事業所であるとアピールできれば人材確保につながる―とも訴える。

 宣言に必要な手続きは《別表2》の通り。宣言事業所に対しては定期的に取り組み状況を尋ねて助言し、従業員個々の健診結果や医療費、生活習慣などを「健康度カルテ」として示す。働き掛けの結果、宣言事業所は16年度末に125だったが、18年度末には720まで増加。宣言事業所のうち、経済産業省などが毎年認定する健康経営優良法人も、18年は11だったが、19年には26まで増えた。従業員が積極的に体を動かすようになった、摂取する塩分量に気を配るようになった-という宣言事業所もあるという。

健康経営を周知するパンフレット

 だが同支部は、従業員の健康増進まで手が回らない事業所もあると推測し、健康経営の周知にさらに力を注ぐ。15年に57万人だった県内生産年齢人口(15~64歳)が45年には26万人まで減る見込みであることも念頭に、中田支部長は「従業員が元気に長く働ける環境の整備が大切であることを、関係団体と連携してアピールしていく」と強調。「県が目標に掲げている『健康寿命日本一』を達成するため、県民一人一人が健康意識を高めて生活習慣の改善に取り組んでもらえるようにしたい」と話している。

 健康経営宣言に関する問い合わせは協会けんぽ秋田支部企画総務グループTEL018・883・1841(平日午前8時30分~午後5時15分)