「ナトカリ比」知り減塩を/脳卒中予防へ測定会を継続食生活の改善促す鹿角市
鹿角市が2016年度から進めているのが、市民の高血圧を改善・予防するため、減塩を意識した食生活に導く「ナトカリ2.0作戦」だ。
取り組みの背景には鹿角市の脳卒中死亡率の高さがある。厚生労働省がまとめた市町村別人口動態統計(08~12年)によると、男女とも全国の約3倍、本県の約2倍だった。
「ナトカリ」はナトリウムとカリウムのこと。高血圧の要因となる体内の塩分量はナトリウムの量から知ることができ、野菜や果物、きのこ、海藻などに多く含まれるカリウムには、余分な塩分の体外排出を促す働きがある。尿から検出される比率(ナトカリ比)として、カリウム1に対しナトリウムを2以下にするのが望ましいとされる。
事業としては、専用の測定器を用いたナトカリ比の測定会を開き、参加者一人一人に自分のナトカリ比を知ってもらうとともに、食生活改善のポイントなどを指導。これを定期的に行うことで、取り組みの効果を市民自身に実感してもらいながら健康的な食生活の定着を図る。
5月30日には、本年度1回目の測定会が同市福祉保健センター(同市花輪)で行われた。1時間で市民65人が訪れ、ナトカリ比に加え血圧や骨密度も測定した。
会場で測定待ちの参加者に対しては、ナトカリ比を知ることの大切さなどを保健師があらためて分かりやすく説明。また、食生活に関する資料コーナーでは、市が作製した減塩レシピ集などを手にとる参加者たちの姿が見られた。
測定会の開始当初からほぼ毎回参加しているという女性(78)はこの日、ナトカリ比が1.7だった。「初めは10ぐらいと高かったが、食事に気をつけたら3、4カ月で半分になった。骨密度とともに、測ってもらえる機会があるのはありがたい」と話した。
鹿角市は本年度、あと3回の測定会を予定。170人の新規参加者を目指している。また、測定会への参加を、特定健診や大腸がん検診の受診につなげるための呼び掛けも強める考えだ。