健康教育に独自の副読本/授業で活用、家庭にも啓発井川町教委と井川義務教育学校

2019年07月31日 掲載

副読本を使った授業に臨む5年生

 小中学生世代の子どもたちが学ぶ井川町の井川義務教育学校(三浦智校長)で、町独自の健康教育副読本を用いた学習が行われている。町が続けてきた脳卒中予防などの取り組みの歴史を紹介し、食を含む正しい生活習慣を身につけてもらう狙い。町教育委員会は副読本の内容が児童生徒の家族に伝わり、幅広い世代の健康増進につながることも期待している。

児童が理解しやすいよう、副読本には図表を多用している

 井川村(1974年から井川町)は脳卒中になる人が多いことを憂慮し、63年に働き盛り世代を対象とした循環器健診を始めた。結果から浮かび上がった塩分摂取過剰などの課題の解決を図るとともに、高齢化の進展、運動量の低下など社会やライフスタイルの変化にも対応した生活改善指導を継続。脳卒中の発生率(40~60代の男性1000人当たり)は60年代に約10人だったが、80年代には半減し、2009~13年の調査では約2人にまで減少した。

6年生への授業で、塩の入った袋を使って適切な摂取量を指導する石原さん

 副読本はカラーA4判58ページ。大阪大や筑波大の専門家に監修してもらい、今春完成した。健康づくりの歴史や理想的な生活習慣に加え、脳卒中や心臓病の説明、たばこやアルコールの害について記されている。子どもが自分の食事や運動をチェックするためのリストも掲載。学習内容を書き留めるスペースには保護者がサインする欄を設けているほか、「おうちの方へ」と題したコラムで定期健診受診を促すなど、家族にも目を通してもらえるようにしている。

 6月中旬には監修に携わった専門家らが町を訪れ、4~6年生計84人に対し、学年ごとに特別授業を実施。その1人、大阪大大学院医学系研究科の石原真穂さんは「健康を守るためのヒントをこの本にぎゅっと詰めています。きょう1日で全部覚えなくていいから、1年かけてそのヒントを探してみてね」と呼び掛けた。塩の入った小袋を児童数人に持たせ、適切な摂取量を体感させるなどした。

井川町教委が発行した副読本の表紙

 特別授業を終え、5年生の男子は「脳卒中になると言葉が不自由になったりすることが分かった。(副読本は)読みやすいので、家で家族にも読んでもらおうと思う」と語った。小玉克男教頭は「生活習慣に関する啓発は若いうちから始めることが大切。さまざまな機会を捉えて副読本を活用したい」と話した。

 副読本のタイトルは「ずっとけんこう いかわっ子」。健やかに育ってほしいという地域の子どもたちへの愛情が見て取れる。