「健康になれる業界」目指す/ドライバー対象に啓発通年でセミナー開く県トラック協会
約400社のトラック運送事業者でつくる公益社団法人・県トラック協会(赤上信弥会長)は本年度、通年で「健康経営キックオフセミナー」を開いている。ドライバーら従業員の心身の状態に目を配り、安全運転の励行はもちろん、働きやすい職場づくりへの意識を醸成してもらう取り組みだ。
同協会の健康経営推進には二つの狙いがある。一つはドライバーの健康に配慮する姿勢を広く伝え、シニア世代を含めて人材を確保しやすくすること。もう一つは運転中の発作などドライバーの健康に起因する事故を防ぐこと。昨年度から会員事業所向けに脳ドック受診の助成を始めるなど、健康経営の意識づけを図ってきた。
キックオフセミナーは4月、7月、10月と12月または来年1月に、大館、秋田、大仙の各市にある同協会の研修センターそれぞれで、テーマを変えながら開催。事業者は出席するたびに受講証明書が授与され、4回全て受講すれば健康管理などの機能を備えたスマートウオッチが贈呈される。
4月の秋田市でのセミナーでは、赤上会長が「この業界に入ったら健康になれると言えるレベルにまで持っていきたい」とあいさつ。「協会挙げてドライバーの健康維持に取り組むきっかけにしたい」と決意を述べた。
この日は県健康づくり推進課の担当者が健康寿命延伸の施策を紹介。働き盛り世代の健康管理の大切さを説き「何年か後の自分に健康をプレゼントできるようにしてほしい」と訴えた。全国健康保険協会(協会けんぽ)秋田支部の担当者は、健診結果を軽視しないよう指導。「きょうの話をドライバー皆さんに伝えてもらいたい。そうすることでコミュニケーションも生まれる」と語った。
7月のセミナーでは、県健康づくり推進課の歯科医師が歯と口の健康をテーマに講話した。また県スポーツ科学センターの担当者が、同センターでの「あきた元気アップ円熟塾」で行われている「円熟体操」を指導。大館市の県北研修センターに集まった各事業所の従業員ら約20人は、運転席に座ったままできるストレッチなどを学んだ。
同協会の村越博之業務部長は「(健康経営実践は)1年で完了するわけではない。事業所による事例発表も視野に入れ、参加型のセミナーにしていきたい」と話す。物流を支える業界団体として息の長い取り組みとしていく考えだ。