運動や食農教育の場を提供/組合員らの元気維持に貢献「100歳プロジェクト」を推進中 県内各JA

2019年09月30日 掲載
JA秋田たかのすが月2回開いている健康体操教室=7月25日、北秋田市のことぶき荘

 県内の各JAが組合員らの元気を維持しようと、運動や食農教育の場の提供や、健康講座の開催、保健指導などに取り組んでいる。全国農業協同組合中央会(JA全中)が推奨している「JA健康寿命100歳プロジェクト」の趣旨に合致するさまざまな企画を実践し、地域住民の健康増進を図っている。

健康体操教室の休憩時間に、お茶を手に話に花を咲かせる参加者たち

 7月、北秋田市合川地域の老人憩いの家「ことぶき荘」で、地域の女性8人が「健康体操教室」に臨んだ。県北を中心に活動するシニアコンディショニングトレーナー佐藤宏満さんの指導を受け、1時間余りストレッチをして体をほぐした。90歳の女性は「この体操をずっとやってるから元気なんだ」と笑顔を見せた。

 これはJA秋田たかのすが合併前のJAあきた北央時代から月2回、15年以上続けている教室。JA秋田たかのす担い手課の片岡亜紀子さんは「健康維持に加え、コミュニティーを守るという面もある。参加者同士が楽しそうに話しているのを見るとうれしくなる」と語った。

 同じ7月、大仙市仙北地域の高梨小学校で料理教室が行われ、3年生約40人が夏野菜ピザの調理に挑戦した。JA秋田おばこ女性部員が中心となり、作り方などを指導し、学校で育てたトマトなどを生地に乗せて焼き上げた。「トマトは苦手だけど、これはおいしい」という声も聞かれた。

JA秋田おばこ職員らの指導で夏野菜ピザの調理に挑戦する高梨小の児童たち=7月18日

 同JAは児童に農作物の栽培から調理までを体験する「アグリスクール」を展開しており、その多くに女性部員が協力。高梨小もその一つだ。同JA営農企画課の坂本麻夕美さんは「育てて調理して味わうという過程を通じ、食べ物に感謝の気持ちを持ってくれたらうれしい。指導に当たる女性部員はやりがいを感じて取り組んでいる」と話した。

 100歳プロジェクトは「運動」「食事」「健診・介護・医療」の三つの柱に生きがいづくりの要素を加え、2010年にスタート。全国のJAが地域の実情に合わせた活動を繰り広げており、県内の他のJAもウオーキング、地産地消の料理教室、がん検診受診の奨励などを多彩に行っている。

料理教室では、箱に入った野菜を触って種類を答えるクイズも行われた

 JA秋田中央会組織広報担当課長の藤嶋美由紀さんは「プロジェクトに呼応する形で各JAは住民の健康寿命延伸のため活動を進めている。JAは活動を通して、高齢になっても生きがいを持って社会参加できるコミュニティーを目指している」と言う。農業県秋田の県民にとって身近な存在であるJAは、健康意識の醸成にも一役買っている。