生きがいづくりで健康増進/「生涯現役」事業に評価 厚労省の「アワード」優良賞 藤里町社福協

2019年10月31日 掲載
町民が講師となり郷土料理の「赤ずし」を作った「まち自慢クラブ」=今年7月

 厚生労働省は健康寿命を延ばすことを目的とした取り組みを行っている自治体や企業・団体を対象に、「健康寿命をのばそう!アワード」と銘打った表彰を実施している。18年度の第7回表彰では、介護予防・高齢者生活支援分野の厚労省老健局長優良賞の団体部門で、藤里町社会福祉協議会(菊池まゆみ会長)が選ばれた。推進する「町民誰もが生涯現役を目指せるシステムづくり事業」が評価された。

「アワード」優良賞の表彰状を手にする菊池会長

 この事業では支援する側、される側に分けることなく、町民各自の知識と経験を生かして活動できる仕組みを模索。藤里町は引きこもりの人の支援で知られており、福祉の立場から「弱者でも担い手になれる」と地方創生に携わった経験が基になっている。

 具体的な柱は二つ。一つは町民が講師を務めて週4回開く「まち自慢クラブ」だ。内容は切り絵、茶道、料理など趣味的・実利的な教室から、各集落の往時の姿を伝える講話まで多彩で、きのうの聴衆があすの講師となることもある。講師を務めた男性の1人は「話すことを調べたりまとめたりして、これまでを振り返るいい機会になった」と語っている。

収穫されたフキの皮むき作業をする「プラチナバンク」の登録者=昨年5月

 もう一つは「プラチナバンク」。仕事探し、仲間づくり、ボランティアなど多様な目的で参加できる地域活性化の人材バンクで、高齢者を中心に町の人口の1割ほどに当たる約330人が登録している。山菜を採ったりその皮むきをしたり、町の就労支援施設「こみっと」で提供するうどんやそばを打って接客したりと、登録者の活躍の場は少しずつ広がっている。

 菊池会長は「足腰が弱ったら手で、手が動かなくなったら口で話してできることがある。機会と仕組みがあればやる気を引き出せて、やったことを評価される喜びを感じることができる」と話す。

プラチナバンク登録者は、ワラビの根っこ掘りにも励んだ=昨年11月

 「体操もいいけれど、生きがいを持って暮らすことが究極の介護予防」と菊池会長。「アワード」への応募は町当局から勧められたといい「この事業が健康寿命の観点から評価されてうれしかった」と語る。藤里町社福協の受賞は、健康寿命延伸には多様な視点から取り組めることを物語っている。

 


 【 健康寿命をのばそう!アワード 】 2012年度創設。現在は▽生活習慣病予防▽介護予防・高齢者生活支援▽母子保健―の3分野について、それぞれ厚労大臣表彰(最優秀賞、優秀賞)や厚労省各局長表彰(優良賞)などがあり、自治体、団体、企業の部門別に表彰される。本県からは第1回(12年度、当時は生活習慣病予防分野のみ)の同省健康局長優良賞に自治体部門で「健康の駅よこて」(横手市)、第3回(14年度)の介護予防・高齢者生活支援分野の同省老健局長優良賞に団体部門で「三関昔を語る会」(湯沢市)が選ばれている。