宴会場で介護予防訓練/一般向けのフィットネスも 4月から市民に開放した湯沢ロイヤルホテル

2019年11月30日 掲載
トレーナーの千葉さん(左)の指導で体を動かす身体機能向上訓練の参加者たち

 湯沢市で湯沢ロイヤルホテルを運営する協同企画(京野学社長)は今年4月、ホテルの宴会場をフィットネスジムとして市民に開放する「ロイヤルフィットネス事業」をスタートさせた。介護予防事業と、一般向けのフィットネス事業の2本立て。高齢者の身体機能維持・向上と、市民の健康づくりに役立ててもらい、健康寿命延伸を後押ししたい考えだ。

ホテル前に掲げた看板

 ホテルに10室ある宴会場のうち、2階の「光の間」(88平方メートル)を使用。ウオーキングマシンやバイクなど約15台の機材のほか、ダンベルやストレッチボールをそろえた。導入費用は約500万円。機材はいずれも可動式で、繁忙時は本来の宴会場として使用している。

 大仙市出身の千葉泰史さん(33)をトレーナーとして雇用。千葉さんは健康運動士の資格を持ち、仙台市のフィットネスジムで介護予防のトレーナーを務めた経験がある。

訓練前には体調をチェック

 11月6日、湯沢市内の80代男女3人が介護予防事業の身体機能向上訓練に参加した。血圧測定などの健康チェックと入念なストレッチに続き、いすから立ち上がる訓練や膝の曲げ伸ばし、器具を使った運動に取り組んだ。メニューは参加者の体調を確かめながら、千葉さんがその場で組み立てる。

 利用者は「腰痛がつらいが、トレーニングすると楽になる」「ふらつかずに歩けるようになった」「普段使わない筋肉が鍛えられている気がする」などと笑顔を見せていた。他にも「つえを使わずに階段を下りられるようになった」などの声が寄せられているという。

 介護予防事業は平日の午前と午後、いずれも2時間の枠で実施(金曜は午前のみ)。介護保険が適用される「介護予防・日常生活支援総合事業」の事業者として協同企画が湯沢市の指定を受けた。要支援1、2に認定された人と、生活機能が低下している人が対象で現在10人が通う。要支援1の人が週1回訪れた場合、利用者負担は342円となる。

一般向けにもジムとして開放

 一方、一般向けのフィットネス事業は現在160人の会員がいる。市内に本格的なフィットネスジムが少ないということもあり、同社の予想を上回る人気となっている。利用時間は宴会場の繁忙期を除き平日午前6~9時、午後4時~午前0時、土日祝日午前9時~午後9時。月会費は4千円。会員の要望を受け、8月にはシャワールームを新設した。

 今回のジム開設は、平日日中の宴会場の稼働率アップを検討していた同社に、整骨院やデイサービスを経営するe-MOTIONs(横手市)が事業化を打診したのがきっかけだった。

 協同企画の京野健幸常務(34)は「高齢化が進む中、できるだけ長く元気に活躍してもらいたい。要介護者が増えれば介護保険料の負担増につながることから、地域にとって必要な事業と判断した。介護予防はもう少し認知度を上げる努力をしたい。フィットネスに関しては、会員同士の交流が生まれるようにサークルを企画したり、ホテルのレストランで会員割引を受けられるようにしたりするなど、継続して通ってもらう仕組みを増やしたい」と話している。