介護予防へ栄養、運動を指導/市民の生きがいづくりも支援多様な教室を開催する北秋田市

2020年02月29日 掲載
男性たちが料理を楽しんでいる「はつらつ栄養教室」=1月20日、森吉保健センター

 北秋田市では栄養と運動の両面からさまざまな介護予防の教室を展開している。その多くが、「健康寿命」という概念が広がる前から継続してきた取り組みだ。

はつらつ栄養教室の開始に先立ち、参加者は血圧を測定

 1月下旬、同市の森吉保健センターに、60歳以上の男性21人が集まった。鷹巣、森吉の2会場で月に1度、交互に開かれている「はつらつ栄養教室」の参加者だ。この教室は2006年度、バランスのいい食事づくりの実践を通じて低栄養を防ごうと始まった。この日、参加者は血圧を測定した後、マーボー豆腐、あんかけ焼きそば、ごま団子の3品の調理に挑戦。「中華料理を作ってみたい」とのリクエストがあったためだ。

 参加者は3班に分かれ、地元の食生活改善推進員の手を借りながら、役割を分担し談笑しながら調理を進めた。70代の男性は「以前は野菜を切ることさえしなかったが、たまには家族に料理を作ってあげようと、3年前から参加している。習った料理はまた作ってみようという気になる」と話した。

「まめまめ運動教室」では椅子を使った体操に挑戦=1月17日、北秋田市市民プールのトレーニングルーム

 運動に関する教室も盛んだ。日常生活の中で取り組める運動やセルフケアを学び、要介護状態となることを防ぐ「まめまめ運動教室」(08年度開始)と「あにまめ運動教室」(15年度開始)には18年度、合わせて延べ1385人が訪れた。参加者からは「体が軽くなったように感じる」「1人ではできないことも、みんなと一緒だと頑張れる」などの声が寄せられているという。

「パワーリハビリ教室」では機器を使ったトレーニングで老化を予防=1月17日、合川保健センター

 このほか、「パワーリハビリ教室」(05年度開始、18年度延べ2241人参加)では理学療法士の指導の下、トレーニング機器を活用して筋力維持を促進。「のびのび運動教室」(06年度開始、18年度延べ1900人参加)では、筋肉や関節、骨の機能が衰えるロコモティブシンドローム(運動器症候群)や認知症の予防を図っている。

 北秋田市医療健康課(市保健センター)保健師の津谷侑希さんは「介護保険制度の導入と改正の中で、自分で健康を管理しようという機運が高まり、各教室とも参加者が増えて定着した」と語る。旧鷹巣町、旧合川町が掲げていた「福祉の町」の理念が、合併後の北秋田市にも引き継がれているといえる。

ストレッチで体をほぐす「のびのび運動教室」の参加者=2月6日、北秋田市保健センター

 市はまた、地域で市民が立ち上げるサロンや教室の初期運営も支援する。軌道に乗るまでは保健師を派遣し、自主運営のノウハウを徐々に学んでもらうなど、市民による取り組みを見守ることで、健康づくり、生きがいづくりの輪が広がることを期待している。