「健幸」のため活動量計提供/大仙市の取り組みに貢献グループ2社と共に協力するタニタ秋田(大仙市)
健康計測機器メーカーのタニタ(東京)の国内生産を担うタニタ秋田(大仙市)は、大仙市との官民連携で「健幸(けんこう)まちづくりプロジェクト」に取り組んでいる。歩数や総消費エネルギー量がはかれる活動量計を全市民に提供したり、医療機関やフィットネスクラブなどで使われるプロフェッショナル仕様の体組成計や血圧計を市の公共施設などに置いたりと、健康で幸せなまちづくりの環境整備を後押ししている。
プロジェクトは、タニタグループ3社と市が昨年9月に締結した「健幸まちづくりに関する協定」に基づく取り組み。タニタは1973年、仙北村(現大仙市)にタニタ秋田の前身の生産拠点を設け、雇用を含めて地域に貢献している。タニタ秋田は国や県の「健康経営優良法人」に認定されるなど従業員の健康増進に力を入れており、会社を育んでくれた大仙市への恩返しの意味を含め、地元住民の健康づくりにも寄与したい思いがあったという。
プロジェクトでは、市が希望者にタニタの活動量計(愛称「うぉーくん」)を無償貸与。タニタ秋田は市内に在住・勤務する約8万2千人全員分を製造し、用意できるという。また市役所支所や公民館、郵便局など58カ所に、タニタの体組成計や血圧計を備える「健幸スポット」を設置。市民はここで各自の活動量計のデータをインターネット上の専用サーバーへ転送でき、パソコンやスマートフォンで自分の記録を確認できる。こうした仕組みの構築には、集団向けの健康づくりプログラムの提供を手掛けるタニタヘルスリンク(東京)が協力した。
タニタ秋田の樫尾昇社長は「生活習慣を見直して健康になってほしいという願いは市と同じで、そのためのツールの提供は私たちの役目。『活動量計を持つようになって歩くのが楽しくなった』という声を頂き、私たちもうれしい」と話す。
プロジェクトを担う市健幸まちづくり推進室によると、これまでに配布した活動量計は1万3432個(3月26日現在)。小中学校の児童生徒にも活動量計を使ってもらうことで健康意識を醸成するとともに、子どもたちから父母や祖父母へと参加者の輪が広がることも期待している。運動習慣の定着を促すとともにプロジェクトの効果を分析し、年々増え続けている市民の年間医療費総額を、2030年までに22億円抑制したいとしている。
タニタ本社の冨増俊介広報課長は「これだけ大規模な官民連携のヘルスケア事業は、全国でほかに例がない」と説明。「大仙市での取り組みを秋田県全体、日本全体に広げていきたい」と語っている。