元気に働ける環境を整備/新社屋でアイデア具現化健康経営を推進する能代電設工業

2021年04月30日 掲載
昇降式のデスクで、起立して業務に取り組む小松さん(左)

 道路、上下水道、発電などのインフラ整備を手掛ける能代電設工業(能代市)は、長く元気に働ける職場づくりを推進し、注目を集めている。その象徴が2017年10月に完成した新社屋だ。

山田社長も立って仕事することを心掛けているという

 同社は17年9月、全国健康保険協会(協会けんぽ)秋田支部が推奨する「健康経営宣言」を行い、▽事業所内に血圧計を設置する▽ラジオ体操に取り組む―など6項目の実践を明言。その直後に完成した新社屋では、遊び心のある健康増進のアイデアが具現化されている。

 例えばオフィスの一部には、昇降式デスクを含めて、立って事務仕事をできる場所がある。床に不安定なバランスボードを置き、その上に立って仕事をする社員もいるという。広めに取った休憩スペースはカフェのような雰囲気とし、リフレッシュを図れるようにした。

カフェのような雰囲気の休憩スペース。ここでリラックスして仕事をする社員も

 トイレには能代市内の子どもたちが考えた健康標語入りのステッカーを掲示。希望する事業所に市が配布しているステッカーで、総務課長の小松茜さんは「健康に関する県や市のツールは分かりやすいものが多いので、積極的に活用しています」と話す。

 また山田倫(ひとし)社長の発案で、社内のごみ捨て場は1カ所にした。歩かざるを得ない状況をつくって少しでも運動習慣を定着させたいという思いと、ごみ捨てついでに仲間と会話してほしいという考えによる。社屋向かいには公園があり、山田社長は昼休みの公園散策も奨励している。

 健康づくりとコミュニケーションを促す新社屋は19年度「日経ニューオフィス賞」の東北ニューオフィス推進賞(東北経済産業局長賞)を受賞。小松さんは「社内の健康意識は高まっています。現場では危険を伴う作業もあるため、心身とも健やかな状態で働いてほしい」と願う。新型コロナウイルス感染のリスクを低減するため、今年2月には社内全体に抗菌・抗ウイルス加工を施した。県の健康経営優良法人認定(昨年9月)に続き、今年3月には国の健康経営優良法人(中小規模法人部門)に認定された。

2017年10月に完成した能代電設工業の新社屋=同社がドローンで撮影

 健康経営の推進は、いま働いている人の利益につながるだけではない。「健康を気遣う企業であることを理解してもらえれば、人材確保の面でもプラスになると考えています」と小松さんは言う。社員81人(嘱託社員、契約社員、パート含む)の平均年齢は40代半ば。小松さんは「今後は生活習慣病予防にも力を入れたい。健康づくりや働き方についての(社員の)アイデアはいつでも歓迎します」と語っている。