食事の見直し、薬局で支援/管理栄養士が情報発信「よろず相談窓口」を目指すサノ・ファーマシーグループ

2021年08月31日 掲載
佐野薬局通町本店で予約制の栄養相談に当たっている菊池さん

 秋田市を中心に県内外で50店舗以上の薬局を展開するサノ・ファーマシーグループ(本社同市)は、「地域の健康生活支援ステーション」を掲げて住民の健康維持・増進に尽くしている。多彩な取り組みの中でも目を引くのが、管理栄養士による栄養相談だ。

サノ・ファーマシー本社も兼ねている佐野薬局通町本店

 同グループは秋田、岩手両県で管理栄養士13人を採用。生活習慣病やロコモティブシンドローム(運動器症候群)、フレイル(虚弱)などの予防・改善には食事を見直すという面からのアプローチも必要だという佐野元彦社長の考えによる。

 栄養相談は同市の通町本店で2016年にスタート。同店の管理栄養士、菊池健美さんが月4日、予約制で1日5人の相談に応じている。薬剤師が薬の受け渡しの際に相談窓口があることを伝えているほか、近隣医療機関からの紹介もあるという。

通町本店の店内にはフレイルチェックのパネルも

 例えば糖尿病や高脂血症の患者は、医師から大まかに食事の注意点を聞いていても、何をどれぐらい取ればいいか分からないことがある。そうした相談に対しては、「食事の記録をもとに改善策をいくつか示し、その中でできそうなものを患者さん自身に選んでもらっています」と菊池さん。患者が「やらされている感」を覚えるようでは長続きしないからだという。

レジ付近に置かれている「今月の食材」や「管理栄養士のレシピ」

 また「今月の食材」や「管理栄養士のレシピ」と題した手作りのチラシを各店舗で配布。最近では動画投稿サイトのユーチューブで「薬膳 簡単レシピ」も配信している。栄養相談に訪れる人以外にも、食事を通じた「病気になりにくい体づくり」を呼び掛けている。

 このほか、通町本店では「かんたんフレイルチェック」「熱中症予防のコツ」のパネルを置いて注意喚起し、関連商品を陳列。半年に1度のペースで発行する「さのハチだより」では血圧や肥満などの最新情報を提供している。ホームページには薬剤師と管理栄養士が持ち回りで「健康生活よもやま話」というコラムを掲載するなど、あの手この手で健康に関する話題を発信している。

半年に1度のペースで発行されている「さのハチだより」

 「長寿社会では予防の視点が不可欠。調剤の機能だけでなく、地域の皆さんの健康を支える『よろず相談窓口』という本来あるべき姿を目指していきます」と佐藤淳総務担当部長。薬剤師と管理栄養士の協働を通じ、栄養相談や全国健康保険協会(協会けんぽ)と連携した特定保健指導などを展開し、健康寿命の延伸に寄与したい考えだ。