「百歳体操」普及に力/知識と技能、退職後も活用健康増進に貢献する秋田県在宅保健師等ゆずり葉の会
1982年の発足から40年目となった「秋田県在宅保健師等ゆずり葉の会」(太田敦子会長、事務局=県国民健康保険団体連合会)は、保健所や市町村で健康づくりを支えた保健師や栄養士、看護師でつくる会。会員83人(2021年3月現在)は保健所などを定年退職した後も、健康教育や訪問指導をはじめとした幅広い活動を通じて地域住民の健康増進や介護予防に貢献している。
10月のある金曜日、秋田市土崎港の相染新町公民館。近隣の高齢者が集まり、16年度から続いている「いきいき百歳体操」の教室に参加した。椅子に座った参加者は、同会の佐藤潤子前会長(現顧問)と一緒に、指導用のDVDに合わせ、腕を前や横に上げたり、起立と着席を繰り返したりし、筋力アップの運動に挑戦した。
この日は半年に1度の体力測定も実施。参加者は柔軟性や歩行能力などをみる5項目に取り組んだ。参加者たちは「測定結果が毎年あまり変わらないのは、百歳体操に取り組んでいるおかげ」「無理しないで行える運動だから長続きしている」と言い、楽しんでいる様子がうかがえる。
同会会員は各地で百歳体操の普及に努めており、20年度は能代、秋田、由利本荘の各市などで計195回の教室を開き、延べ2000人超が参加。「退職したからといって、培った知識や技能を眠らせてしまってはもったいない。会員は、住民の役に立てるなら貢献したいと考えています」と佐藤前会長は語る。
ほかにも同会は、官民の委託を受け、さまざまな事業に参画。東日本大震災後に本県へ避難してきた人たちの健康相談、健康状況を確認するための訪問、「通いの場」と呼ばれる住民サロンでの健康教育などだ。最近は県医師会などの要請に基づき、新型コロナウイルス感染拡大に伴って設けられたコールセンターでの業務にも協力している。
ここ数年は高齢者支援のニーズが高まっているという。そのため、加齢によってリスクが増大するロコモティブシンドローム(運動器症候群)、フレイル(虚弱)など比較的新しい考え方についても、研修受講や自主学習で知識の習得に励んでいる。
「健康でありたいというのは誰もが望むこと。その手助けを求められたら、会として可能な限り応えていく」と太田会長。「(百歳体操や健康教育などで)指導するというより、参加者と一緒に楽しむという意識で取り組みたい」と話している。