自分の中に可能性見つけて

2018年08月27日 公開

 

 世の中にはさまざまな人がいらっしゃいます。日々穏やかに笑顔で生きる人もあれば、たえず眉間にしわを寄せ雑言を重ねる人もあります。前者には爽やかさを感じ、後者から陰湿な印象を受けるものですが、陰湿となる理由は彼の置かれている状況がつらいものであるから、苦しいことがあったからではないかと言い立てたからといって自動的に笑顔にはなれません。

 私は20余年前から家族のトラブル相談を受けています。置かれている状況は過酷な方々ばかりです。20代から80代の4万人近い男女の相談者が抱える問題は、夫の浮気、妻の暴力、子供の非行、親の介護、非婚の子供、家族の不仲、近所との不和、事件事故に巻き込まれた等さまざま困難な状況下にあるからこその相談です。そこには、人生において免れることのない四つの苦悩、生老病死(しょうろうびょうし)加えて、愛別離苦(あいべつりく)、怨憎会苦(おんぞうえく)、求不得苦(ぐふとくく)、五蘊盛苦(ごうんじょうく)の四苦八苦があります。

 相談に訪れる人は顔と身体に不幸感を漂わせて来所し、話すうちに前向きな解決策を見つけられ、相談を終える頃には笑顔となられます。これは年齢性別かかわらず同じですが、過去を振り返ることができるからこそ涙し、四苦八苦の末に自分の中に可能性を見つけたとき、人は笑顔となり未来を見ることができるものです。

 それは若さと老いの違いでもあります。年齢にかかわらず、自分の可能性を信じることが若く生きるということですし、逆に自分の可能性を捨て自暴自棄になると年齢が三十歳であってもすでに若さは失われてしまいます。

 若さとは、年齢ではなく生き方であると知っている人は「若く生きる」人ですね。

池内ひろ美(いけうち・ひろみ)
家族問題評論家、八洲(やしま)学園大学教授
岡山市生まれ。恋愛や結婚・離婚、親子関係などのコンサルティングから、作家、女優、大学教授など幅広い分野で活躍。コンサルティングでは、これまで3万7千件以上の相談に応じている。さらに、メディア出演や執筆活動、Girl Power代表理事などの職務を通して、世の中への情報発信や啓蒙活動も行っている。