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取組・体験記・コラム

争わない武道「合気道」の魅力を体感

2023年02月28日
秋田唯一、女性師範の道場
「座技呼吸法」の技をばっちり決めたマッキー。正座をしているだけのように見えるが、相手は起き上がれない

 「やってしまった~!」。年末年始、ほとんど外出せず自宅でゴロゴロ快適に過ごしたマッキー。冒頭の叫びは、体重計の数字が4キロ増えていたときの一言だ。こうなったら心機一転、体を動かすしかない。頭に浮かんだのは、以前から知り合いにオススメされていた合気道。調べてみると、秋田初の女性師範による合気道場「合気道浩然館(こうぜんかん)」が秋田市にあるみたい。健康増進はもちろん、護身術も身に付けられて一石二鳥かも!

流れるように技を決める女性師範の岡部さん。大きな男性を軽く投げ飛ばす

 早速、同市新屋にある武産(たけむす)塾合気道修練道場へ。合気道浩然館道場長で県内の女性でただ1人、六段位の資格を持つ岡部智美さんがここで週2回、教室を開いているほか、市内のカルチャースクールでも指導しているという。「合気道は勝ち負けがなく、争うことをしない武道で、相和することが重要。年齢・国籍・レベルもさまざまな生徒さんが習っていますよ」と気さくに出迎えてくれた岡部さん。初心者のマッキーは「まずは形から」と、白い道着を着用。帯を締めると気持ちが引き締まる。

力を抜いて攻撃封じる
手首のストレッチに「イテテッ!」(イテテッ!という人は、痛いところにゴミがたまってるらしい)

 70畳の広い道場で行う稽古は、準備運動からスタート。受け身の練習や手首のストレッチなどの次に、2人一組で行う「体(たい)の変更」を体験した。手首をつかまれた際に、体や足さばきを意識しながら流れるように動き、相手の攻撃を封じる技だ。実際に相手が動けないよう、手首を思い切りつかんでみたが、あっさり手首をひねられて形勢逆転。捕まった犯人状態になってしまった。相手が力を入れるほど、封じる側は力を抜くのがポイントらしい。さらに岡部さんは、ここから自分よりも体の大きな男性を簡単に後方に投げ飛ばした。かっこいい~!!

稽古は礼に始まり礼に終わる。礼儀作法もしっかり身に付きます

 続いて挑戦したのは「座技呼吸法」。正座で相手と向かい合い、両手首をつかまれた状態から手首を返すなどして相手の体勢を崩し、上向きに倒れ込んだ相手の脇に膝をつけながら両手で押さえて起き上がれないようにする技。試しに実践してみると、正座をしながら軽く押さえているだけで相手が動けなくなった。さらに寝ているときに、馬乗りで襲われた想定の護身術も勉強。馬乗りになっている相手の尻を、仰向けのまま思い切り片足でキックすると、前に吹き飛んでいく。

護身術も勉強。馬乗りで襲われたら相手の尻を片脚でキック

 教室は1時間半ほどで終了。なかなか思うようにはできなかったが、楽しく技を学べて気分もスッキリできる合気道にハマりそうな予感。「アドバイスを素直に受け入れるマッキーさんはセンスありますよ」と岡部さんからお褒めの言葉をもらい、色んな技を習得したくなった。生徒からも「体が疲れにくくなり、足腰が強くなった」「集中力がついた」「呼吸を意識することで自身の体をどのように動かせば負担が少ないか分かり、介護をする上で役立っている」など、健康面や精神面での効果の声が寄せられているという。

 岡部さんは大学時代に合気道を始め、卒業後一時は合気道から離れていたものの、2000年に改めて武産塾に入門。最近まで特別支援学校の臨時講師として勤めながら腕を磨いてきた。仲間の高齢化や県内の指導者が少ないこともあり「秋田で合気道を広めることに専念しよう」と、思い切って教職を辞め、昨年4月に合気道浩然館を開いたという。今後の目標は、合気道の魅力を子どもたちにも伝えることだ。

笑顔がすてきな岡部さん(左)

 「敷居が高いと思われがちですが、楽しいをモットーに教えているので、ぜひ、道場へ遊びに来て欲しい」と岡部さん。競い合いで心が疲弊がちな世の中。こんなときだからこそ〝争わない武道〟を体験してみませんか。

►合気道 浩然館 ☎090・3640・4295