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取組・体験記・コラム

スノーシューで雪山を探検 特別な景色に感動!!

2021年02月28日
気温マイナス13℃、吹雪でも〝最高の天気〟!?
新雪の中をラッセルしながら雪山を探検。外は吹雪でもブナ林の中の天候は意外と穏やか

 スキーやスノーボードなどとは、ひと味違った冬の遊びとして注目されている「スノーシュー」(西洋かんじき)。かんじきよりも浮力が大きく、雪深い場所を自由に散策することができる道具だ。昨年より断然雪が多い今年の冬。せっかくなら、スノーシューで冬場の運動不足と正月太りを解消したい!!

 調べてみると、自然公園財団八幡平支部が行っている「予約型スノーシューガイド」(有料)を発見。初心者から上級者向けまで、八幡平周辺の特別ルートを歩くさまざまな体験コースが用意されているほか、スノーシューとストックは無料で貸し出ししてくれるという。初体験のマッキーは、冬しか行けないルートを歩き「泥火山」を見学する「ビジターセンター裏山探検コース(片道1キロ)」を申し込んだ。

 

雪山の中に現れた沼は、地下数千メートルのマグマの熱の影響を受けてできた「泥火山」。地球のエネルギーのすごさを実感!

 

深く積もった新雪の中でも自在に歩くことができるスノーシュー

 体験日の天候は、気温マイナス13℃、猛吹雪。集合場所の鹿角市八幡平スキー場駐車場には、スキー場が平日休みのため人っ子一人おらず、真っ白で何も見えない。私、遭難するんじゃないか・・・。不安に駆られていると、同支部スタッフでガイド役の阿部明広さんと工藤公光さんが「きょうは最高の天気だな。雪山はこうでねばな」と豪快に笑いながら現れた。早速、自分の靴にスノーシューを装着、「よしっ」と気合を入れ、3メートルほど積もった雪山に入る。先頭の阿部さんがラッセルして作った道を進むのだが、それでも雪は膝上まであり数十歩歩いただけで息が上がった。この先は、腰まで雪に埋まる場所もあるとか。もうすでにギブアップかも(泣)。

地球のエネルギーを体感、〝森の住人たち〟の痕跡も
地上3メートルの木の幹に作られたキツツキの巣が目の前に

 心が折れそうになったまま数十メートル先のブナ林の中に入ると、そこには別世界が広がっていた。今までの悪天候がうそのように風と雪が穏やかになり、フカフカのパウダースノーがきらめく白銀の森に目を奪われた。真っ白な雪をまとった木々は、芸術作品のよう。感動していると阿部さんがオオカメノキの枝を指し「これは何に見える?」と聞いた。よく見ると枝の先に、ピョンと耳を立てたウサギの顔のような芽が。今の時期しか見られない冬芽で、春には白い花を咲かせるという。さらに進むと今度はあちらこちらの木の幹に、クマが登った爪痕を発見。「こんなにクマの爪痕が残っている場所は珍しい。豊かな森の証しだ」と工藤さん。他にも〝森の住人たち〟の足跡を見られるのも雪山歩きの醍醐味(だいごみ)。「ウサギを追いかけるテンの足跡を見ると、ほとんどの場合はウサギが逃げ切っているんだ。いろんな動物のドラマが見られて面白いよ」と阿部さんが教えてくれた。

 スノーシューの扱いにようやく慣れてきたころ、目の前に沼が現れた。風の向きによって硫黄のにおいもする。ここは目的地の「泥火山」。地下数千メートルにあるマグマの熱によって熱せられた地下水が水蒸気となり、岩盤を削って泥になったものが地表に噴き出す現象で、火山性のガスも含まれているという。お湯が湧き出す場合もあり、噴出口の温度は95℃。一部でぼこぼこと泥が吹き出している様子も確認でき、地球のエネルギーを体感した。泥火山の沼を一周していると、今度はキツツキの巣を発見。「本来は地面から3メートルの高さにあるのだから貴重だよ」と工藤さん。じっくり観察してみると、大きく太い木の幹にきれいに穴が開けられている。森の大工・キツツキの職人技、恐るべし!!

雪山の魅力を教えてくれたガイドの阿部さん(右)と工藤さん

 約2時間歩いてスノーシュー体験が終了。持っていたペットボトルの飲み物は寒さでシャーベットになっていたが、心も体もぽかぽかになっていた。「冬の森は、新しい気付きや感動をくれるし、天気によってまた別の表情を見せる。たくさんの人にスノーシュー体験の魅力を味わってほしい」と阿部さん。体験は4月上旬ころまでOK。楽しくてストレス解消につながる雪山探検にぜひ、挑戦してみて!!

▶スノーシュー体験問い合わせ先=自然公園財団八幡平支部☎0186・25・8846