やってみると意外に簡単! 自分だけの味「手前みそ」造りにチャレンジ
近年、健康や美容に効果が期待され人気が高まっている「発酵食品」。日本古来の、みそや納豆、漬物などは、秋田の食卓に必ず並ぶ身近な食べ物。中でも、心も体もほっこり温まるみそ汁は、具材によって色んな味が楽しめるスーパーフードと言える。みその仕込みは寒い冬が最盛期。しかも、女性だけでなく男性にもみそ造りはひそかなブームらしい。せっかくなら、自分が仕込んだみそで作ったみそ汁が食べたい!! 昨年12月末、秋田市の「Cafeひとつぶ」で、みそソムリエとして県内外で活動する小山明子さん(44)=大館市在住=のみそ造り講座(ランチ付き税込3千円)が開かれると知り、参加してみることにした。
得意料理は「納豆ご飯」「スクランブルエッグ」と、実はちょっとだけ料理が苦手なマッキー。「こんな私が、ちゃんとみそ造りできるだろうか…」。ドキドキしながら会場のドアを開けると、「初めまして」とすてきな笑顔の小山さんが出迎えてくれた。元気はつらつ、お肌つるつるの小山さんを見た瞬間、「みそパワーは本物だ!」と気合が入った。
数年ぶりに収納ケースから出した女子力高めのエプロンを身に付け、まずはみそを仕込むための材料や工程の説明を聞く。材料は、大粒大豆(500グラム)、米こうじ(同)、塩200グラム。これで約1.5キロのみそが造れるという。大豆とこうじは1対1が基本的な配分。こうじが多いと甘めに仕上がるのだとか。工程は、ゆでた大豆をつぶしてから材料を混ぜ、たるに詰めるだけと至ってシンプルだが、「材料を混ぜ合わせるのは素手で行ってもらいますから、皆さんそれぞれが持つ菌が付きます。穏やかな気持ちで作業することがおいしくするためのポイントですよ」と小山さん。なるほど、発酵食品は生き物と一緒。接し方次第で味も変わるんだな。
みそ造りは、前日から水に浸しておいた大豆を圧力鍋でゆでるところからスタート。圧力鍋のふたの閉め方が分からずいきなり動揺するも、ちゃんとゆで上がりの目安となる指で大豆をつぶせる状態にゆで終えた。続いてボウルに移し替えた大豆をマッシャーでつぶした後、こうじと塩を合わせる「塩切り」の工程へ。次は最大の山場、つぶした大豆と塩切りしたこうじを素手で混ぜ合わせ、ペースト状までこねる作業。結構な力仕事だったが、「マッキーの菌でおいしくなあれ」と心で語りかけながら夢中でこねる。ゆで上がったばかりの大豆の甘いにおいと、手を包み込むほんわか温かい感触は、癒やしの時間にもなった。最後は一握りのみそ玉を作って空気を抜きながらたるに詰め、表面に塩を軽く全体に振り掛けて終了。トータル約1時間40分。終わってみると、みそ造りは意外と簡単で楽しい作業だった。他の参加者も「本やインターネットを見てみそ造りはできるけど、細かなポイントが分かるから、自己流より一度は専門家に教わったほうがいいね」と話していた。
大豆をゆでる間、みその栄養成分も勉強。良性の植物性タンパク質に加え、ビタミンやミネラル、食物繊維なども豊富で、整腸作用やアンチエイジングが期待されるほか、近年の研究では生活習慣病やがんのリスクを下げるとする論文が発表されている。小山さんは「健康寿命日本一を目指す秋田では、塩分を控えるキャンペーンを行っていますが、その一つとしてみそ汁が悪者になっているケースがあるのは残念」と話し、その上で「みそ汁の塩分は体に悪いものではありませんが、それでも気になる人は野菜たっぷりのみそ汁にすると、栄養満点のおかずにもなるし野菜に含まれるカリウムの働きによって塩分が排出されますよ」と教えてくれた。もともと専業主婦だったという小山さんは、2011年の東日本大震災をきっかけに食の大切さを再認識し、猛勉強をしてみそソムリエや食育インストラクターの資格を取得した努力家。「歴史を勉強すると、卑弥呼や徳川家康がみそ汁を飲んで長生きしたという言い伝えがあるんです」と熱く語る姿に、みそは日本人の食文化や健康を支えてきた食べ物なのだと実感した。
この日仕込んだみそが食べ頃になるのは、10カ月後。保管する場所によっても味が変わると聞き、風通しがいい親戚の家の納戸に置いてもらうことにした。初体験の「手作りマッキーみそ」は果たしてどんな味になるのか? いろんな料理にして食べるのが、今から楽しみだ。
▼みそ造り教室に関する問い合わせ
小山明子さん TEL080-1823-5303
▼一汁三菜ランチに関する問い合わせ
Cafeひとつぶ(秋田市広面) TEL018-827-7381
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