「健康寿命の延伸はお口から」
/オーラルフレイル予防周知へ活動
全世代へ継続的な口腔ケアを指導 秋田県歯科医師会

2022年03月31日 掲載
県が企画し、県歯科医師会が協力して制作された啓発動画「口腔戦隊トゥースレンジャー」の撮影風景=秋田市

 「健康寿命の延伸はお口から」「お口は命の入り口 心の出口」。秋田県歯科医師会(藤原元幸会長、会員429人)はこんなフレーズを用い、歯と口の健康を保って「オーラルフレイル」を防ごうと県民に呼び掛けている。

 オーラルフレイルとは、「口腔(こうくう)機能が虚弱な状態」を指す。この状態になると、食べることに支障が生じ、心身の機能低下を招く恐れがあるとされる。むせたり口が渇いたりすることが増えると、オーラルフレイルが疑われるという。

県歯科保健大会・歯科保健医療フォーラムでオーラルフレイル予防の取り組みを語る県口腔保健支援センターの田所大典副センター長(右奥)=昨年12月、秋田市

 2021年4月に改正された「秋田県歯と口腔の健康づくり推進条例」には、「オーラルフレイルの予防に関すること」が基本的施策の項目に加わった。藤原会長は「当会としても要望していた項目」と歓迎し、口腔ケア啓発の追い風にしたい考えを示す。同会が主催者に名を連ねた同年12月の県歯科保健大会・歯科保健医療フォーラムは、オーラルフレイル予防がテーマとなった。

 また、条例改正後に県が制作した啓発動画には、同会の歯科医師5人が「口腔戦隊トゥースレンジャー」として参加。横手市生まれの女優でタレントの壇蜜さんとの掛け合いを通じ、歯と口腔の健康づくりについて分かりやすく解説した。

 《「口腔戦隊トゥースレンジャー」の動画はこちら》

 動画には藤原会長も「トゥースレッド」として登場し、オーラルフレイル予防の大切さを説明。唇や舌の力を保つためできるだけ速く「パパパ」「タタタ」「カカカ」と発声したり、こめかみや顎の周辺の唾液腺(せん)を入浴時にマッサージしたりすることなどを勧めている。

 同会の活動の対象は、オーラルフレイルのリスクが高い高齢者だけでなく、幅広い層に及ぶ。妊婦の場合、無料で1回、歯科検診が受けられることを県と共に周知。受診した妊婦には乳幼児の歯と口のケアについてもアドバイスするようにしている。

幅広い層を対象とした口腔ケアの啓発の必要性について語る県歯科医師会の藤原会長=ことし2月、秋田市

 「生涯を通じて口から食事をとれる状態を保つことに貢献するのは、歯科医師にとって大きな喜び」と藤原会長。各歯科医院で患者の状態に合わせた指導が行われているといい、「歯科医師や歯科衛生士はもちろん、来院者も口腔ケアの意識が高まっていると思う。ケアの重要性に若いうちから気付いてもらえるよう、今後も努力する」と話す。

 文部科学省の学校保健統計調査によると、本県の12歳児1人当たりの虫歯本数は10年ほど前まで2本台で、都道府県順位は40位台だったが、近年は1本を切って10位台まで浮上。同会はこうした成果も励みに、歯と口の健康づくりに寄与していく。