【特別編】「新・減塩音頭」聞いてみて/実践を願い令和に〝復活〟県健康づくり推進課 佐藤さん、加藤さんに聞く
秋田県では「健康寿命日本一」に向け、官民で「健康づくり県民運動推進協議会」を組織し、会員がそれぞれの立場から健康づくりの啓発や実践を行っている。協議会の事務局的な役割を担うのが、県健康づくり推進課。県民運動の広がりを目指すため、先ごろ、公募で歌詞を募集して「新・減塩音頭」を作り、音源を配布するなどして周知に努めている。その狙いについて、「会員の取組 特別編」として、同課調整・健康寿命延伸班の主幹(管理栄養士)の佐藤直美さん、主事の加藤友梨さんに聞いた。
秋田県は脳卒中など脳血管疾患による死亡率が全国でも高く、これを改善するには減塩が必要とされている。だが県民健康栄養調査(2016年)によると成人1人の1日当たりの食塩摂取量は10.6グラムで全国平均(9.9グラム)を上回り、健康秋田21計画で目標とする「8.0グラム」の達成には程遠いのが現状だ。
「県民の皆さんも減塩の必要性を理解してはいるでしょうが、重要なのは行動につなげられるかどうか。16年に県内の30代、40代を対象に行った食習慣状況調査でも、『濃い味が好き』『どちらかと言えば濃い味が好き』と答えた人の割合が、合わせて70.2%を占めました」
こうした背景もあって新・減塩音頭は制作された。「新」という言葉がついているのは、1980年に「減塩音頭」が作られているからだ。
「減塩音頭を復活させようという話になったのは昨年のこと。県民運動推進協議会は今年度、減塩と野菜・果物の摂取に集中的に取り組むことになっていて、啓発ツールとして、かつての減塩音頭をリニューアルして活用しようということになったのです」
県民参加狙い歌詞を公募
新・減塩音頭の歌詞の公募は5~6月に行われた。応募作品の選考に当たっては、減塩の大切さを理解していても行動に移せない人の背中を押せるような内容かどうかを重視。その結果、1番(減塩部門。応募62件)は齋藤忠弘さん(由利本荘市)、2番(野菜・果物摂取部門、応募41件)は佐藤美香子さん(秋田市)、3番(健康寿命延伸部門、応募54件)は池田昭さん(仙北市)の歌詞が大賞を獲得した。
「公募したのは県民参加型の取り組みとするため。広く関心を高めるだけでなく、応募しようという人が減塩に関する知識を整理し、歌詞の形で言葉にすることで、減塩の重要性を再認識してもらう狙いもありました。聞く側が県民なので、応募者も秋田県にゆかりのある人に限定しました。3部門全てに応募してくれた人もいました。多様な視点があって、こちらとしても勉強になりました」
大賞作品は、掛け声を入れるなどして補作。県正庁で9月7日、日本民謡梅若流梅若会(秋田市)の歌とはやし、藤美会(仙北市)の手踊りでお披露目された。音源はCDとしてスーパーなどに配布して店内で流してもらうとともに、県民運動推進協議会のホームページ「秋田健」からもダウンロードできる。
(新・減塩音頭の歌詞、音源はこちら)
スーパーで流し意識づけ
「県では以前からスーパーの協力を得て、野菜が取れるレシピやのぼりの配置、ポスターの掲示などにより、食生活改善のキャンペーンを実施してきました。多くの県民が利用するスーパーで新・減塩音頭を流してもらうことで、減塩への関心が薄い人の耳にも、自然に入っていくと期待しています。青果物コーナーで耳にして、『野菜も買っていこうか』と思ってもらえれば幸いです」
新・減塩音頭には既に反響が寄せられている。その中には新たな展開のヒントになるものもあるという。
「県民からは『せっかくなら踊りたい』という声も届いています。歌う、聞くに加えて踊ることでフレイル(虚弱)予防につながるなら、高齢者も踊れるような振り付けを考えられればいいなとも考えています。一緒に歌ったり踊ったりすることで、生きがいづくり、仲間づくりなど、気持ちの面での効果が期待できるかもしれません」
「多くの人に『新しく作ったイメージソングじゃなく、秋田音頭だからいいんだ』と言われます。秋田音頭の節は多くの県民が知っているので。県民の皆さんには、歌詞の中からできることを見つけて、実践してほしいと願っています」